101. ムナーリのグラフィックワーク(雑誌) ― 2005年12月11日 21:35
しばらくぶりにムナーリのデザインした雑誌カバーなど。「文学(Lettura)」という雑誌の表紙デザインを継続して手がけています。写真は1937年4月号ですね。号によって写真のコラージュやイラストなど、手法を使い分けています。固定したスタイルにとどまらないムナーリらしいデザインですが、時代(戦前)を感じさせる雰囲気もあります。
102. ムナーリの動物園(絵本) ― 2005年12月12日 18:59
いわゆる動物園の動物たちが絵本になっているのですが、そこはムナーリ一流の「ひとこと」が添えられていて、大人にも面白い絵本です。1963年にアメリカの出版社から発行されたのがオリジナルのようですが、現在はイタリアのコッライーニ社から復刻版が出ています。
103. FLEXI ― 2005年12月13日 22:11
ムナーリが1968年に発表したオブジェです。6本の弾力のある金属の細線の端端をゴムのチューブで固定することで、いくつもの幾何?形態を作って遊ぶことが出来るおもちゃのような、アートワークのような、不思議なものです。バックミンスター・フラーの考えた立体構造も連想させます。
104. ムナーリの本を知る本 ― 2005年12月14日 19:08
世の中には物好き?な人もいるもので、ムナーリが関わったブックリストをまとめて本にした人がいました。Giorgio Maffeiという美術評論の本を書いている人で、かなりのムナーリ研究家だと思われます。ムナーリのブックリストは「Bruno Munari i libri(ブルーノ・ムナーリ 本)」というそのままのタイトルで2002年に発行(Edizioni Sylvestre Bonnard)。中には1929年から1999年までの本が網羅されています。テキストはイタリア語ですが、ブックリストとして見る分には楽しいかも。日本でも輸入書を扱うウェブショップなどで購入することが出来ます。
105. コッライーニ、ムナーリを語る ― 2005年12月15日 18:33
ムナーリの絶版になっていた絵本などを復刻している、イタリアのコッライーニ社の創設者でもあるマウリツィオ氏とマルツィアさんが、ムナーリの展覧会(2003年イタリアのチェゼーナという町で開催されました)に寄せて書いたひとことです。 『20年にわたるブルーノ・ムナーリ:20世紀の偉大な人物の一人との友情と仕事について語るのは、簡単なことではありません。かいつまんで語るなど不可能...それとも...彼のやりかたのように、ものすごく簡単にできるかも。いくつかのすばらしい思い出:ほほえみや穏やかな人柄、彼の魔法を混ぜ合わせてみると、ブルーノ・ムナーリは黄色い手品師/緑の手品師/すべての色の手品師で、なにもないところからなにかを作り出すことの出来る人でした。彼と一緒に本を、ゲームを、展覧会を、夢やオブジェ、紙やひもやシャボン玉を作ることがなんと楽しかったことか。ありがとう、ブルーノ、ありがとう、ディルマ(ムナーリ夫人)。』 ...Scrivere di 20 anni di amicizia e lavoro con Bruno Munari, un personaggio tra i grandi del Novecento, non è certo facile, riassumere tutto è impossibile... oppure..., come sempre con lui, tutto può essere estremamente semplice. Rimescolando tra alcune delle sue più belle storie rimane in mano il sorriso, la serenità, la magia e allora: Bruno Munari è il "prestigiatore giallo", "il prestigiatore verde", il prestigiatore di tutti i colori che sa inventare le cose dal niente e con il quale abbiamo la gioia di costruire libri, giochi, mostre, sogni, oggetti, fogli, fili e leggerissime bolle di sapone. Grazie Bruno, grazie Dilma.
106. multiplo ― 2005年12月16日 21:32
ムナーリが1961年に作った彫刻「連続する彫刻(scrutture continue)」です。切れ込みのついた金属片を組み合わせてできていますが、分解することができ、木の台座に施された隙間に分解したパーツが収納されます。ムナーリはこの時期「multiplo」と呼ばれるアート作品の複製化にとりくんでいたようで、いわゆる一点のオリジナルしか存在しない従来のアートの枠を越えて作家による作品でありながら版画のように複製を作る、という考えに基づいた活動だったようです。デザインとアートの両サイドで活躍したムナーリらしい考えだと思います。
107. サラダの中のバラ ― 2005年12月17日 18:26
日本にも昔から「いも版」というものがありますが、ムナーリが家でサラダを作る奥さんの作業を見て「このサラダ菜(チコリ?)、切り口がバラのようだね」と「発明した」スタンプ遊びの本です。1974年にオリジナル版が出版され、現在はコッライーニ社から復刻されたものが日本でも手に入ります。テキストはイタリア語版と英語版があるようです。
108. ムナーリのグラフィックワーク ― 2005年12月18日 22:00
戦前のムナーリは特にグラフィックデザインの仕事が多かったようで、雑誌や本の装丁、イラストなどの仕事が多数残っています。これもその中の一つ、「La Rivista(「雑誌」という意味!)」の雑誌のカバーイラストです。その他の号についてもムナーリが手がけていたようですが、気になるのは明らかに戦前のイタリアの政治的な色調(当時はムッソリーニ政権下)が見て取れることです。柔らかいタッチの風景ですが中央に見えるのはイタリア国旗を掲げた潜水艦。日本で言えば「FRONT」のような雑誌だったのかも?
109. ムナーリ、こどもを語る ― 2005年12月19日 22:25
「子供たちのことを理解するのは、猫を理解するのに似ている。猫が好きでない人には猫は理解できない。いつでも口うるさく、しかめっ面でぴーちくぱーちくと変な言葉遣いをして子供を怖がらせながら命令する気むずかし屋のオバさんがいるものだ。子供たちはこういう人を実に辛辣に、無駄に年老いてしまった見本のように見ている。(子供たちはそういう大人が)何をしたいのかなんてちっともわからないので、自分たちのシンプルで真剣なあそびの世界へさっさと戻ってしまうのだ」 "Conoscere i bambini è come conoscere i gatti. Chi non ama i gatti non ama i bambini e non li capisce. C'è sempre qualche vecchia signora che affronta i bambini facendo delle smorfie da far paura e dicendo delle stupidaggini con un linguaggio informale pieno di cicci e di cocco e di piciupaciù. Di solito i bambini guardano con molta severità queste persone che sono invecchiate invano; non capiscono cosa vogliono e tornano ai loro giochi, giochi semplici e molto seri"
110. 無成(ムナーリの言葉) ― 2005年12月20日 23:26
「日本語でムナーリとは、『無から成る』(無成)という意味」 "Mu-nari in giapponese, vuol dire fare da nulla."
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