391.『遠くから見たら島だった』2023年11月22日 10:58

『遠くから見たら島だった』
ムナーリの本がまた一冊、邦訳で出版されるようです。
ムナーリが集めた石を見立ての手法で楽しむ本が『遠くから見たら島だった』という邦題で2023年12月に創元社から出るとのことです。
イタリア語の原題とほとんど同じ("Da lontano era un'isola")ですね。
https://www.sogensha.co.jp/productlist/detail?id=4812
amazonでも取り扱いページがありました。クリスマスのプレゼントによいかもしれません。

384.パオラ・アントネッリ、ムナーリとテクノロジーを語る2023年06月27日 10:12

東京都で最初に区立美術館として生まれた板橋区立美術館では、例年イタリア・ボローニャの国際絵本見本市(正確には児童書見本市、ということのようです)の入選作品原画展を開催しています。
今年もつい先日から会期が始まり、8月半ばまで世界各国の絵本作家の原画が楽しめるようです。
https://www.city.itabashi.tokyo.jp/artmuseum/4000016/4001737/4001741.html

ムナーリのご縁で内覧会を拝見するチャンスがあり、あわせて頂いた2023年の図録を眺めていたところ、巻末にMoMA(ニューヨーク近代美術館)のパオラ・アントネッリのインタビューがありました。アントネッリはミラノ工科大学を経てアメリカでアートとデザインのキュレーターとして活躍している人物です。
「バオラ・アントネッリ(Paola Antonelli)ミラノエ科大学て学んだ建築家てあり、デザイン界の”ラ・バッショナリア(受難者、または情熱の花) ”。タイム誌による「世界で最も先見の明がある25人」に選出され、スミソニアン協会のナショナル・デザイン・アワードではデザイン・マインド賞を受賞。USアートディレクターズクラブに殿堂入りしたほか、AIGA (アメリカ・グラフィック・アーツ協会) 賞、 ロンドンデザイン賞、 ドイツデザイン賞など受賞歴多数。 1994年からニューヨーク近代美術館 (以下、 MOMA) のメンバーに加わり、 建築・デザイン部門のシニアキュレーターを務める。」

アントネッリは(数年前のミラノでの講演で)「ブルーノ・ムナーリなら、この現代世界でどんなことをしていただろう?」という問いに触れ、今回のインタビューで「ムナーリは、紙の本とオンラインプラットフォームを融合させるための能力を身につけていたに違いありません。あらゆるデジタルの可能性を発揮できるように、と。それから、おそらくAlも活用しようとするでしよう。」と付け加えていました。
アントネッリのムナーリ像は、ムナーリの停滞することのない創造性を言い表している、と思います。

365.「旅の彫刻」の本2022年10月16日 21:11

ムナーリの多くの本を現在も出版しているコッライーニ社から、面白い本が出ていました。
ムナーリの「旅の彫刻」という折り紙細工のような彫刻作品をアメリカのデザイナーDavid A. Carterが「飛び出す絵本」に仕立て直したものです。
国内で取り扱っているネットショップ「フィネサ・ブックス」から購入できたのですが、現在は品切れとのこと。

https://www.fineza-col.com/product/1582

コッライーニ社のウェブページから注文することもできそうです(英語でクレジット決済が可能です)。

https://corraini.com/en/le-sculture-da-viaggio-di-munari.html

340.「だれも知らないレオ・レオーニ展」2020年08月10日 09:30

板橋区立美術館で準備されていた「だれも知らないレオ・レオーニ」展ですが、新型コロナウイルスの感染拡大によりここしばらく会期未定となっていました。
最近あらためてHPを確認したところ、10月24日から来年はじめまでの会期と決まったようです。

「だれも知らないレオ・レオーニ」展

レオーニは以前本blogでも紹介しましたが,ムナーリと未来派(後期)芸術運動の仲間であり、ともにデザインと絵本の分野で活躍した人です。
絵本作家としてはムナーリをしのぐ人気ですが、私も子どもの頃から、他の仲間と違うかたちでみんなの役に立つ自由なネズミの「フレデリック」のお話が大好きでした。

321.「子どものためのコロナウイルス対策絵本」2020年03月12日 22:25

ムナーリに関わるイベントも多く開催しているミラノのこどもミュージアムから「子どものためのコロナウイルスを知る絵本」が発信されました。製作にかかる作業を考えると、イタリアでの流行が始まってすぐ製作が始まったものと思われます。とても意義のある活動だと思い、内容をご紹介します: 「好奇心を持った男の子と女の子のための銀河コロナウイルスガイド」 /Mar. 2020. / 「好奇心(興味)は、勇気よりも強く、怖れに打ち勝てる」 ジェームズ・スティーブンス(アイルランドの小説家、詩人) / この物語は中国の揚子江の向こうにある武漢という町で生まれました。 / この町に住む、李文亮というお医者さんが、重いインフルエンザの患者からおかしな症状をみつけました。 興味に駆られた彼はデータを集めて研究し、数日後、新しい伝染病に対する警告を発することを決心しました。 / 医師たちと科学者たちはすぐに研究を開始し、原因をつきとめました。 私たちの肺の中のもっとも小さな部分にまで入り込むとても小さな微生物です。 その名はSrs-CoV-2、またはコロナウイルスとも呼ばれています。 / コロナウイルスはどのくらい小さいのでしょうか? 針の先ほどの点の中に、ちょうどフィレンツェの人口と同じくらいの、35万ものウイルスが住めるくらい小さいのです! / ただ小さいだけでなく、活発で、粘着性があります! 一回くしゃみをするだけで2メートル先まで飛んで広がります。 このようにして素早く伝染して、イタリアや他の色々な国にまで広がりました。 / わたしたちの国ではコロナウイルスはあっというまにスターになってしまいました。 ラジオで、TVで、新聞で、大人達はそのことばかり話しています。 ついには学校もお休みになりました。 / 友だちと出かけられないのはおかしいことですが、それでも重要なことに、たった一回のくしゃみや握手で病気になってしまうかもしれないからなのです。 科学者たちはウイルスが閉じられていて人の多い場所で広がっていると言っています。 言葉も出身も年齢も関係なく、全ての人の安全のために重要なことです。 ウイルスがこれ以上人から人へ広がることを防ぐために、科学者たちと医師たちは夜も昼もウイルスを打ち負かす方法を研究しています。 怖がる必要はありませんが、よく注意してくださいと言っています。 いくつかの小さな習慣を守ることでウイルスの広がりを防げます。予防の習慣です。 / コロナウイルスと戦うための6つの小さな習慣 1 水と石鹸でよく手を洗うこと。 2 くしゃみをするときはちり紙や腕で口をふさいで…そのあと手を洗うこと! 3 閉じられていて人の多い所に行かないこと。 4 目や鼻や口といった、ウイルスが身体の中に入り込みやすい場所にさわらないようにすること。 5 使ったちり紙はすぐ処分すること。 6 もし熱が出たり、のどが痛かったり,インフルエンザっぽく感じたら、自分や周りの人が危険にならないようにすること。家で安静にしていること。 / ずっと友だちと会わないでいられるかって? きっと、もうすこし時間がたてば、いつもの生活にもどれるように、科学者たちががんばってくれることでしょう。 それまでの間は、創造性を発揮してください!もうすでに世界中のたくさんの若者たちが、直接手を触れたりハグすることなしに楽しんだり挨拶できる方法を発明しています…あなたたちは、どんな挨拶のしかたを発明しますか? / 文: エリカ・ネリーニ、ダニエラ・ロンゴ GUIDA GALATTICA AL CORONA VIRUS PER BAMBINI E BAMBINE CURIOSI/ MUBA, Mar. 2020./ “La curiosita' puo' vincere la paura ancor piu’ di quanto possa fare il coraggio” James Stephans/ Questa storia nasce nella lontana Wyhan, una citta’ della Cina attraversa dal fiume Azzurro./ Qui viveva un medico di nome Li Wenliang, che per primo noto’ qualcosa di strano in pazienti con una grave forma di influenza. Spinto dalla curiosita’, inizio’ a studiare e raccogliere dati. Fu cosi’ decise, qualche giorno dopo, di dare l’allarme: stava difendersi una nuova malattia!/ Medici e scienziati si misero immediatamente al lavoro e scoprirono il colpevole! Un microbo talmente piccolo da riuscire ad arrivare fino alla parte piu’ piccola dei nostri polmoni. Il suo nome e’ Srs -CoV-2, ma si fa anche chiamare Coronavirus./ Quanto e’ piccolo il Coronavirus? Talmente piccolo che sulla punta di un ago ci possono abitare oltre 350 mila virus, quasi come la popolazione di Firenze!/ Non solo e’ piccolo, e’ anche un tipo appiccicoso a atletico! Basta uno starnuto per fargli fare un salto di quasi 2 metri. In questo modo ha viaggiato velocemente, fino ad arrivare in Italia e in tanti altri paesi./ Nel nostro paese il Coronavirus e’ diventato subito una star. Radio, tv, giornali e gli adulti non fanno altro che parlarne. Hanno persino chiuso le scuole./ Sembra strano non uscire piu’ con gli amici, eppure e7 importante perche’ potrebbe bastare uno starnuto, un abbraccio o una stretta di mano per ammalarci. Gli scienziati dicono che il virus si diffonde molto velocemente in luoghi chiusi e affollati. Sta proprio bene con tutti, non importa che lingua parli, da dove vieni e quanti anni hai./ Per evitare che lui si diverta troppo saltando di persona in persona, gli scienziati e i medici stanno studiando giorno e notte un modo per sconfiggerlo. Dicono che non bisogna aver cosi’ paura di lui, ma essere cauti. Bastano piccoli gesti da parte di tutti per non farlo diffondere. Si chiama prevenzione./ 6 PICCOLI GESTI PER COMBATTERE IL CORONAVIRUS/ 1. Lavati regolarmente le mani con acqua e sapone. 2. Quando starnutisci o tornisci copriti la bocca usando un fazzoletto o il braccio… e lavati di nuovo le mani! 3. Evita di frequentare luoghi chiusi e affollati. 4. Non toccare occhi, naso e bocca… le piu’ importanti porte di ingresso del virus nel nostro corpo. 5. Butta i fazzoletti usati. 6. Se hai la febbre, mal di gola, e ti senti l’influenza non mettere a rischio la tua salute e quella degli altri. resta in casa. Ma se devi uscire indossa la mascherina!/ Reseremo a luogo senza incontrare i nostri amici? Forse potrebbe passare un po’ di tempo, ma gli scienziati stanno lavorando per farci tornare alla normalita’. Nel frattempo mettere in moto la vostra creativita’! Tanti ragazzi di tutto il mondo stanno gia’ inventando altri modi divertenti per salutarsi senza toccare le mani o abbracciarsi… e voi quale saluto inventerete?/ Scritta da Erika Nerini e Daniela Longo/ Un progetto di PLEIADI https://www.muba.it/files/uploads/2020/03/10/guida-galattica-al-corona-virus-a-curious-guide-for-courageous-kids.pdf

273.エリック・カールの展覧会2017年04月29日 11:42

エリック・カール展
世田谷美術館でエリック・カールの展覧会を見てきました。 「はらぺこあおむし」などの絵本作家として知られているエリック・カールですが、(エリック・カールはドイツ系アメリカ人ですが、幼年期から青年期はドイツ在住)グラフィックデザイナーとしてアメリカでキャリアを始めていたそうです。 その時代に「スイミー」の作者であり同じくグラフィックデザイナーのレオ・レオニと知り合って影響を受けたとか。 世代的にはムナーリやレオニより一世代?若いわけですが、間接的にはムナーリともつながってくることがわかりました。 展示は絵本原画が中心でしたが、子どもに読み聞かせたり自分が読んできたなつかしい絵本の原画がたくさんあって楽しい内容でした。

264.ムナーリの仕掛け絵本(邦訳版)2011年11月29日 19:27

フレーベル館HP
「きりのなかのサーカス」を谷川俊太郎訳で復刻してくれたフレーベル館から、あの9冊の仕掛け絵本シリーズが同じく谷川訳で刊行されています。2011年11月時点で三冊(原題「mai contenti」「l'uomo del camion」「il venditore di animali」)が発売中とのこと。ところが本屋さんの店頭ではなかなか見ることが出来ないようで、フレーベル館のHPやアマゾンで注文するのがよさそうです。                             

250.ムナーリの仕掛け絵本を読んでみる2010年03月14日 17:55

読み聞かせ

あるところで機会を頂いて、幼稚園の子ども達にムナーリの仕掛け絵本の「読み聞かせ」をさせてもらいました。読んだのは「mai contenti」で、四歳児クラスと五歳児クラスに一回ずつ(もちろん日本語で)読み聞かせをしてみました。どちらの場合も子ども達はこちらが予想していた以上に興味を持ってくれたようです。ページごとに色々な動物が「他の動物になりたい」と思っている「頭の中」が見えるミニページが絵本の仕掛けになっていますが、「○○(動物)は何になりたいと思ってるかな?」と途中でなぞかけすると、四歳児は次の展開を予想すると言うよりもとりあえず自分が思いついた動物を「キリン!」とか「カエル!」とか言ってみる感じ、五歳児はページごとの展開を予想して「(そろそろ最初のページの動物に戻るんじゃないかな?)ゾウ!」という感じで予想してくれました。 本の大きさは紙芝居と同じくらいですし、絵柄も大きく色がはっきりしているので、読み聞かせに向いているかもしれません。日本語版があったら、もっと色々なところでムナーリの仕掛け絵本を楽しんでもらえるのに、という気もします。

248.mai contenti(ムナーリの仕掛け絵本「ぞうのねがい」)2010年02月16日 00:09

「mai contenti」

ムナーリの仕掛け絵本シリーズの一つ「mai contenti」はその昔「ぞうのねがい」という題名で邦訳されていたようです。調べてみると図書館で収蔵してあるところがありそうなのでそのうち調べようと思いますが、とりあえず自分なりに内容を翻訳してみました。 「mai contenti」 ぞうはおおきくて重たいからだでいるのにくたびれて、ほかのいきものになりたいと思いました。/ ぞうはなにになりたかったのでしょう?/ そらを飛んで、きれいなこえで歌う鳥になりたいと思ったのです。/ でも、鳥は飛んだり歌ったりするのに飽き飽きして、ほかのいきものになりたいと思いました。/ 鳥はなにになりたかったのでしょう?/ 水の中を泳ぎ回る魚になりたいと思ったのです。/ ところが魚は水の中を泳ぐのにくたびれて、ほかのいきものになりたいと思いました。/ 魚はなにになりたかったのでしょう?/ いつまでも砂や岩の上で動き回っている、とかげになりたいと思ったのです。/ でもでも、とかげはいつまでも砂や岩の上で動き回っているのがいやになって、ほかのいきものになりたいと思いました。/ とかげはなにになりたかったのでしょう?/ 大きくてしずかで、おまけにいつでも虫がよってくる牛になりたいと思ったのです。/ はてさて、牛は牛でいるのに退屈して、ほかのいきものになりたいと思いました。/ 牛はなにになりたかったのでしょう?/ もっともっと大きくて、りっぱな鼻ときばのある、ぞうになりたいと思ったのです。/ それでもやっぱり、ぞうはほかのいきものになりたいと思っていましたとさ。/

245.ムナーリの機械2009年10月31日 17:33

「ムナーリの機械」
ふらっっと本屋さんに入ったら、「ムナーリの機械」の邦訳版が復刻されていました。河出書房新社から出ています。今年の5月に出ていたようですが不明にして気がつきませんでした。その昔出た版と違い、今回のは現行のコッライーニ版と同じ表紙ですね。
<< 2023/11 >>
01 02 03 04
05 06 07 08 09 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30

このブログについて

イタリアの芸術家+デザイナー+教育者、ブルーノ・ムナーリのことなどあれこれ。
こちらにもいろいろ紹介しています(重複有)https://fdl-italform.webnode.jp/

RSS