412.ムナーリ作品集の復刻2024年05月05日 05:07

イタリアではムナーリの研究者メネグッツォの監修による過去最大の回顧展が開かれているそうですが、これに合わせるように、ムナーリ研究者として名高いもう一人の人物アルド・タンキスによるムナーリの作品集がコライーニ社から復刻されたとのニュースが届きました。
タンキスの編んだ作品集もムナーリ生前の編集で本人に直接取材してまとめられた内容が含まれる貴重なものですが、復刻にあたあって更に改訂も加えられているとか。イタリア語版の他に英語版もあるようです。
定価が48ユーロ弱とのこと、1ユーロ165円の円安状態でも約7000円と比較的お手頃ですが、いまのところ日本のamazonでは取り扱いがないようです(あっても送料などが上乗せになると思いますが…)
コライーニ社ならウェブを通じて直接通販購入ができるかもしれません(英語の対応があると思います)。

411.ムナーリの人新世(20世紀の化石)2024年04月14日 19:49

ミラノの「スパツィオ・ムナーリ」ではムナーリの新しい企画展がはじまったそうです(MUNARIAのミケーラさんが教えてくれました)。

ムナーリが1950-60年代に発表したアート作品「二十世紀の化石(Fossili del 2000)」を中心にした展示で、展覧会の題名「BRUNO MUNARI ANTROPOCENE」とは「ムナーリの人新世」という意味になります。
ウィキによれば「人新世とは、人類が地球の地質や生態系に与えた影響に注目して提案されている地質時代における現代を含む区分である。人新世の特徴は、地球温暖化などの気候変動、大量絶滅による生物多様性の喪失、人工物質の増大、化石燃料の燃焼や核実験による堆積物の変化などがあり、人類の活動が原因とされる。」と説明されています。

作品は電子部品などの部品がアクリルブロックの中に封入されたもので、現代社会が生み出す「ゴミ」が未来の化石になるだろう…というムナーリの皮肉が込められているようです。

展覧会場の解説パネルの一部内容を、ざっくりと紹介してみます。

Non ci si pensa mai, tanto siamo ossessionati dal presente, ma già ora, qui, noi siamo materia in fieri per gli archeologi del futuro. Siamo un primate africano di grossa taglia comparso sul pianeta Terra solo duecento millenni fa, Sono passate soltanto 8000 generazioni, 8000 passaggi di madre in figlio, da quando i primi pionieri della specie "Homo sapiens" cominciarono a migrare nel mondo, Eppure, abbiamo già lasciato tracce che rimarranno per milioni di anni, Siamo i fossili di domani.
今ここでさえ、私たちは未来の考古学者にとって重要な存在なのだ。 私たち、つまりわずか200万年前に地球上に出現したアフリカの大型霊長類「ホモ・サピエンス」という種の最初のパイオニアが世界中を移動し始めてからわずか8000世代、8000の親子の交代しか経ていないが、私たちはすでに何百万年も残る痕跡を残している、私たちは未来の化石なのだ。
Negli strati geologici dell'Antropocene, gli studiosi di un futuro remoto dissotterreranno una poltiglia indifferenziata di plastiche e transistor, micro-chip, valvole radio, bulloni e lattine, ceramiche e bronzi, acciai, vetri, asfalti e cementi, gas serra, isotopi radioattivi, cattedrali e grandi muraglie, montagne di ossa di polli, ovini, suini e bovini, Oggi poi, mentre l'orologio dell'apocalisse sfiora pericolosamente la sua Ora X, stiamo alacremente lavorando alla nostra auto-candidatura come soggetti di un'archeologia post-umana. 遠い未来の学者たちが、人新世の地層からプラスチックやトランジスタ、マイクロチップ、無線バルブ、ボルトやブリキ缶、セラミックやブロンズ、鋼鉄、ガラス、アスファルトやセメント、温室効果ガス、放射性同位元素など、未分化のドロドロしたものを発掘するだろう、 黙示録の時計が危険なX時刻に近づいている今日、私たちはポスト・ヒューマン考古学の対象として自分たちの候補者探しに奔走しているようだ。 Ma non sarà facile finire in un Museo alieno. Ammirando questi geniali e visionari reperti artistici combinatori di Bruno Munari, vien da pensare a quanta fortuna ci vuole per diventare campioni per archeologi. Non basta il metacrilato, La tecnologia invecchia presto e il futuro di questi oggetti immaginati nel 1959, ovvero l'anno 2000, per noi è già un passato vintage.
しかし宇宙人たちの博物館にたどり着くのは容易なことではない。ブルーノ・ムナーリの独創的で先見の明のある芸術的な組み合わせの人工物を眺めていると、考古学者のチャンピオンになるにはどれほどの幸運が必要なのだろう?と思わせられる。メタクリル酸塩だけでは不十分で、技術はすぐに古くなり、1959年に想像されたこれらのオブジェの未来だった2000年は私たちにとってはすでに骨董品の過去だ。

Sul lungo periodo, solo una combinazione altamente improbabile di fattori di conservazione e sedimentazione permetterà a un artefatto umano o a un nostro ossicino di essere studiato dai paleontologi del futuro lontano.
長い目で見れば、遠い未来の古生物学者が人間の遺物や小さな骨を研究できるようになるのは、保存と堆積の要因の極めてありえない組み合わせだけだ。
Sarà davvero un privilegio, perché poi quelle menti postume si interrogheranno costruttivamente su ciò che circonda quel fossile, sul suo enigmatico significato, sulla sua origine incerta e l'uso ignoto, Soprattutto, proporranno ricostruzioni teoriche su ciò che non lascia tracce: le parole e i pensieri di popoli sconosciuti. Proprio come succede quando ciascuno di noi, liberamente, riempie di senso una scrittura illeggibile o un collage di Munari, rendendoli opera collettiva.
それは実に特権的なことだろう。なぜなら遺された未来の人々は、その化石を取り巻くものやその謎めいた意味、不確かな起源、未知の用途について建設的な疑問を投げかけ、とりわけ痕跡を残さないもの:未知の民族の言葉(※ムナーリの別の作品タイトル)や思考について理論的な再構築を提案するからだ。私たち一人一人が読みにくい手書き文字やムナーリのコラージュに自由に意味を込めてコレクティブな作品にするのと同じように。 Noi infatti abbiamo immaginazione e fantasia, quelle che mancano ai virus e agli asteroidi, Facciamo esistere quel che prima non c'era e possiamo sceglierci un futuro diverso. Il meglio che possiamo fare dunque, in mezzo a tutta questa evanescente incertezza e alla finitudine che ci accomuna, è salvarci mantenendo vivo il Museo immaginario di Munari stesso, archeologia gioiosa della creatività di "Homo sapiens"!
私たちは、ウイルスや小惑星がもっていない想像力とファンタジーをもっていて、 以前には存在しなかったものを存在させ自分たちのために異なる未来を選択することができる。この儚い不確実性と私たちを結びつける有限性の中で、私たちにできる最善のことはムナーリ自身のイマジナリーミュージアムを存続させ、「ホモ・サピエンス」の創造性を楽しく考古学することによって私たち自身を救うことなのだ!
Telmo Pievani, 2024
(テルモ・ピエヴァーニ:イタリアの若手哲学者)

410.ムナーリ展のカタログ2024年04月08日 22:40

ムナーリ展の図録2024
イタリアのパルマ郊外で6月まで開催されている史上最大のムナーリ回顧展の図録、その名も『ブルーノ・ムナーリすべて(Bruno Munari Tutto)』がイタリアamazonに出ていました。

Bruno Munari Tutto

ムナーリの著作権管理をほぼ独占しているコライーニからの発行かと思いきや、今回のカタログは違う出版社のようです。
日本からでも送料を追加すれば購入可能なはずですが、なにしろ今は円安なので、様子を見ながらポチろうかと思案しています…

409.駒形克己さん(追悼)2024年04月03日 11:10

駒形克己さん
2024年3月末にグラフィックデザイナーの駒形克己さんが亡くなられたとの報がありました。
駒形さんは2007年の板橋区立美術館でのムナーリ展会場デザインを担当されていましたが、絵本のデザインなどにムナーリとつながる要素があって、イタリアでも高く評価されたデザイナーでした。
2010年雑誌に駒形さんがムナーリについての思い出を語られているものがあったので、一部を紹介して謹んでご冥福をお祈りいたします。

私がムナーリに出会ったのは、1980年の初頭で、まだニューヨークにいたときでした 。
日本では「本に出あう前の本」と訳されている『プレ・ブックス」という12冊のセットになった小さな本を偶然書店で見つけました。
これは子どもたちが、いわゆる一般的な本に出会う前に、本そのものの概念を直感的に体験で きるものです。
しかし初めて見たときは、とても子どもに向けた本には思えませんでした。
それは俗に言う、可愛らしくも子どもらしくもなかったからです。どうして、こういうものをつくったんだろうと思いました 。
でも、その時はその程度の関心で、しばらくは本棚にしまって いたのですが、娘が生まれたときに試しに取り出して渡したところ、これが、とてもよく遊び、すぐボロボロになってしまいました。
それで、 なぜなんだろうと改めて考えました。
そして分かったことが、ムナーリは、子どもの好奇心を引き出す道具として本をつくり、遊びながら学習体験が得られる工夫を所にちりばめていたのです。
たとえば 「プレ・ブックス』の中には、猫の尻尾のようなものが貼付けてある黒いフェルトの本があります。
現在は動物愛護上の問題からフェイクの毛が使 用されているようですが、当初のものは本物の動物の毛でした。
子どもはどうするかというと、 当たり前のようにそれを掴んでグッと引っぱります 。それはそうですよね。
何と言っても子どもは好奇心にあふれてま すから、自分で確かめずにはいられない。
けれども、もし実際に猫の尻尾をいきなり引っぱったとしたならば、逆に猫に引っ掻かれちゃうかも知れませんよね(笑) 。
ムナーリはそんな子どもの好奇心を壊さないように、むしろ安全な手段によって、子どもが実物の猫と向き合う前に 尻尾の感触を本の中で体験させてくれるのです。
さらに言うと、それは子どもに限ったことではないですよね 。 大人にとっても好奇心を持続する工夫が必要になります。
ムナーリは、いわゆる未来派のアーティストでしたが、次第にデザイン的な分野を先駆的に切り開いた人でもあります。
つまり「人と共有する」という手法を、デザインの中に見出していったのだと思います。
私がムナーリから受けた影響は、決して独りよがりの表現ではなく、むしろ表現を通して、ヒトと共有し共感することの大切さを学べたことだと思っています。

「美育文化」2010 11月号

408.レステッリさんの新刊イベント@ミラノ2024年04月02日 10:52

出版イベント
2024年2月にミラノでお会いしたムナーリのお弟子さん、レステッリさんが昨年上梓された、ムナーリのメソッドによるワークショップの本の最新刊「ヒモで遊ぼう(GIOCARE CON FILI)」の出版イベントが4月4日におこなわれるそうです。
著者レステッリさんと、ミラノ・ビコッカ大学のズッコリ教授によるトークがあるとのこと。
パルマのムナーリ展ともども行きたいのはやまやまですが…(泣)

407.ムナーリと葛飾北斎2024年03月21日 20:15

omaggio a Hokusai
2024年3月に北米のオークションハウスで葛飾北斎の「富嶽三十六景」一式(全46図)が355万9千ドル(約5億3700万円)で落札されたという話題がニュースから流れてきました。
ミラノの「スパツィオ・ムナーリ」では2024年2月にムナーリの複写機を使った作品「ゼログラフィア」が展示されていたのですが、その中にも北斎の作品に対するオマージュがあったことを思い出しました。ギャラリーの壁で複写機によって大胆にゆがめられた北斎の「波」の横には、ムナーリの言葉が記されていました。

Ho invitato l'amico e collega
Katsuita Hokusai a giocare con me
dando spinte elettrostatiche alla sua famosissima onda
per accompagnare con movimenti e suoni questa straordinaria produzione del mare che presento in questo libretto.
Hokusai non era soltanto un pittore aveva curiosità leonardesche si interessava di architetture di machine strane di costumi si divertiva a fare strabilianti caricature (io l'ho conosciuto quando lui era già andato a curiosare nell'altro mondo).
Grazie caro amico, grazie del tuo insegnamento allegro.

Bruno Munari, Il mare come artigiano,
Corraini Edizioni, 1995

私は友人であり同僚でもある
葛飾北斎を遊びに誘った(パネルでは綴りが「カツイタ」になっていましたが…)
かの有名な波に電磁の一押しを加えながら
この小さな本で紹介する彼の海の驚異的な演出に、動きと音を添えるために。
北斎は画家であるだけでなく、レオナルド(ダ・ヴィンチ)のように建築や奇妙な機械や衣装に興味をもち、驚くべき風刺画を描いて楽しんだ(私が彼を知ったのは、彼がすでにあの世を探索しに行ったあとだ)。
ありがとう我が友、君の陽気な教えに感謝している。

406.史上最大のムナーリ展2024(2)2024年03月18日 13:36

MUNARI TUTTO
イタリアはパルマではじまった、過去最大規模のムナーリの回顧展「ムナーリの全て(MUNARI TUTTO)」のオープニングに参加した方たちが、会場の様子を写真で知らせてくれました。
なんと展示作品は250点を超える規模だそうですが、それでもムナーリの全仕事には遠く及ばないというのが驚きです。
また、イタリアの美術メディアにもあちこちで紹介がはじまっているようです。
その中のひとつから、展覧会のキュレーターの言葉を含む記事の一部を紹介してみます。

ARTRIBUNE
Chi era Munari e qual era il suo metodo
“Munari”, spiega Marco Meneguzzo, studioso munariano e curatore della mostra, “è una figura molto attuale nella società liquida odierna, nella quale non ci sono limiti fra territori espressivi. È un esempio di flessibilità, di capacità di adattamento dell’uomo all’ambiente. Il suo metodo consiste nello scoprire il limite delle cose che ci circondano e di volerlo ogni volta superare”. Munari aveva iniziato la propria attività durante il cosiddetto Secondo Futurismo, attorno al 1927, in tutti campi della creatività, dall’arte al design, dalla grafica alla pedagogia: una ricerca votata alla sperimentazione, fino agli esiti degli anni Ottanta del Novecento e a un’attività didattica destinata ai bambini che ancora oggi è ritenuta validissima in termini educativi.
ムナーリとは何者で、彼のメソッドとはどんなものだったか
「ムナーリとは」この展覧会の監修者でありムナーリの研究者であるマルコ・メネグッツォはこう説明する「彼は、表現領域に制限のなくなった今日の流動的な社会において、非常に重要な人物です。彼は柔軟性の見本であり、環境に適応する人間の能力の見本でもあります。彼のメソッド(方法論)は身の回りにあるものの限界を発見し、そのたびに克服しようとすることでした。」ムナーリは1927年頃、いわゆる第二次未来派の時代からはじまって芸術からデザイン、グラフィックから教育:1980年代の実践に至るまでの周到な実験による研究と、そして今日なお教育的に非常に有効と考えられている、子どもたちを対象とした教育活動まで、あらゆる創造性の分野で活動した。

ARTRIBUNE
Bruno Munari a Parma. Grande mostra alla Fondazione Magnani-Rocca di un artista totale
di Claudia Giraud 14/3/2024

405.ミラノの幼保小一貫校とムナーリの教育2024年03月16日 22:21

ミーレ・バイリンガル・スクール
2024年2月のイタリアでの調査の際に、ムナーリのお弟子さんだったデツァーニさんが指導されているミラノ市内の「ミーレ・バイリンガル・スクール」を訪問しました。

Mile Bilingual school

ミラノ市南部の閑静な住宅街にある私立学校で、こちらもすでに紹介したパルマの「ムナーリ・スクール」のように保育園、幼稚園、小学校が揃った私立の一貫校です。
ただしこちらのスクールはそもそも企業オーナーが従業員の子弟のために開設されたもので、国際企業で国外から転勤してくる家族のことを考えてバイリンガルスクールになっているとのこと。
デツァーニさんはこの学校が設立された20年前にこの学校における造形活動のアドバイスを求められ、最終的にご本人が指導することになって20年が過ぎた、と言われていました。
小学校、幼稚園、保育園は隣接している別の建物にあって、それぞれにワークショップルームが用意されており、子どもの発達に会わせた形でムナーリの教育のエッセンスが活かされた造形活動を行っているとのことでした。
イタリアの公教育では、近年0歳から6歳の統合保育(日本の「こども園」の構想以上に、子どもの成長を連続的にサポートする意図が強調されています)が進められていますが、さらに幼保小の連携について、ミラノやパルマの私立校がこのような試みを展開していること、その中にムナーリの教育思想が取り入れられていることが分かり、発見の多い調査となりました…。

404.祖父ムナーリを語るインタビュー2024年03月13日 08:12

“VENERDI” 2024 8 Marzo
ミラノでお会いしたムナーリのお弟子さんの一人ミケーラ・デツァーニさんから、ムナーリのお孫さんのインタビュー記事を紹介してもらいました。
「金曜日(VENERDI)」という週刊誌の2024年3月8日号に掲載されたもので、ムナーリの二人のお孫さん:ヴァレリアさんとブルーノさんが祖父の思い出を語っているので、その一部を紹介します。

“VENERDI” 2024 8 Marzo
Bruno Munari È STATO TUTTO UN GIOCO PERI NIPOTINI
Di Marco Romani

Attraverso le illustrazioni dei libri per bambini ripubblicati da Corraini, o da un letto come Abitacolo, abbiamo l'idea di un Bruno Munari attento allo sviluppo dell’ immginazione dei più piccoli. Com’era con voi nipoti, nel privato?
«Durante i nostri soggiorni a Milano, o le vacanze, condivideva con noi il suo senso di osservazione e la sua passione per il gioco, la sperimentazione, la meraviglia. Aveva la capacità di mettersi al nostro livello e di farci scoprirei l suo mondo».
(問い)孫のあなた方にとって、私生活の彼はどのような人でしたか?
「私たちがミラノにいる間、あるいはバカンスの間に、祖父は私たちと彼の観察のセンスや遊びへの情熱、実験や驚きを共有してくれました。祖父は私たちに世界を発見できるように私たちの目の高さに合わせることができる人でした」

Vi ha mai letto i suoi libri?
«Quando arrivavamo a Milano, una delle prime cose che faceva era mostrarci tutte le sue ultime realizzazioni, i libri d i design e quelli per bambini. Questo rituale era importante per lui, ma non ce li leggeva. I suoi libri erano a casa, a Ginevra e a Milano, ma dopo che ce li aveva fatti vedere tornavano al loro posto nella biblioteca».
(問い)あなた方に自分の本を読んでくれたことはありませんでしたか?
「私たちがミラノに着くと、初めに祖父がしてくれることは最近できたもの、本や子どものためのものを見せてくれることでした。この儀式は祖父にとって大切でしたが、私たちに自分の本を読み聞かせはしませんでした。祖父の本はジュネーブとミラノの家にありましたが、それらを私たちに見せたら本棚に戻していました」

Lo ritenete più un artista o più un designer?
«Entrambe le cose! Quello che lo definisce meglio è il titolo della mostra a lui dedicata a Torino nel 2017 e di quella più recente in Uruguay: Artista totale. Un creativo che ha lavorato con materiali diversi, associato a diversi movimenti e che era in grado di navigare da una disciplina all'altra».
(問い)あなた方は彼のことを芸術家だと思いますか、デザイナーだと思いますか?
「両方ですね!2017年トリノで、また最近ウルグアイで開かれた祖父の展覧会のタイトル:トータル・アーティストという表現で説明するのがよいでしょう。祖父はさまざまな素材を扱い、さまざまな活動に関わり、ある分野から別の分野へと移動することができるクリエイティブな人物でした」

403.ブルーノ・ムナーリ・スクール(パルマ)2024年03月12日 19:52

ブルーノ・ムナーリ・スクール(パルマ)
ムナーリのお弟子さんだったレステッリさんのご紹介で、2024年2月にパルマという町の「ブルーノ・ムナーリ・スクール」を訪問しました。

Asilo e scuola materna Bruno Munari Parma

イタリアでは著名な芸術家であり教育者でもあったムナーリの名前は、実はイタリア各地の学校に付けられているようです。レッジョ・エミリアにも「自治体立ブルーノ・ムナーリ幼児学校」があります。
しかし今回訪れたパルマの学校は、現校長カソーリさんのお母様がムナーリと親交があったことから、おそらく世界で唯一、生前のムナーリ自身からその名を付けることについて許可を受けた、というものだそうです。
この学校は0〜3歳の保育園と3〜6歳の幼稚園、6〜12歳の小学校が同じ建物の中でつながっている、日本の付属校のような教育施設で、もちろん国や自治体の学校設置基準は満たしながら「教育の独自性を守るために」完全私立(補助金をほとんどもらっていない)なのだそうです。
「ブルーノ・ムナーリ・スクール」ではムナーリの教育メソッドとモンテッソーリのメソッドそれぞれについて公式に認められた研修をもとに、それらをハイブリッドにしたバイリンガル教育をおこなっているとのことです。
イタリアの幼児教育や初等教育のユニークな事例を知ることができました。
<< 2024/09
01 02 03 04 05 06 07
08 09 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30

このブログについて

イタリアの芸術家+デザイナー+教育者、ブルーノ・ムナーリのことなどあれこれ。
こちらにもいろいろ紹介しています(重複有)https://fdl-italform.webnode.jp/

RSS