464.ミラノ・コルティナ・オリンピック開会式2026年02月20日 23:50

ミラノ・コルティナ・オリンピック開会式
2026年2月の冬季オリンピックは、ミラノ・コルティナで開催されました。
トリノ・オリンピック同様にミラノはいわゆるウィンタースポーツの町ではないのですが、開催地にミラノの名があるのは、アクセスと競技会場の便宜的な関係もあるのでしょうか。
ちょうど学術調査のためにイタリアに一週間ほど滞在している時期にオリンピックの開会式があり、その中ではムナーリの名を紹介しつつ、イタリア人のハンドジェスチャーを取り上げた一幕があったようです。
イタリアのムナーリ関係者の間でちょっとした話題になっていたので「ムナーリがあらためて世界に紹介された瞬間」ということで、取り上げてみました。

463.絵本講座「ムナーリの子どものための教育とさわる本」2026年01月30日 14:23

「ムナーリの子どものための教育とさわる本」
2026年1月25日に板橋区立美術館で「ムナーリの子どものための教育とさわる本」をテーマに、一日講座の講師を務めてきました。美術館のHPにはさっそく講座のレポートを紹介して頂きました。

絵本講座「ムナーリの子どものための教育とさわる本」レポート

参加者のみなさんは絵本作家やイラストレーターから大学生まで幅広く、板橋美術館が研究と紹介に注力している「触る絵本」に深い関心をお持ちの方ばかりでしたが、今回は特にムナーリの本作りの特徴と、ムナーリが晩年取り組んだ子どものための教育について、イタリアの幼児教育事例と比較しながらお話しさせて頂きました。
講座の中でスライドレクチャー以外に体験的な遊びや絵本の素材作りなどにも取り組んで頂いたのですが、限られた時間の中でそれぞれの方の発想や個性が感じられる表現を見ることができました。

また、イタリア教育研究の先達として尊敬する故田辺敬子先生とご縁の深い参加者にお声をかけて頂くことができました。

462.モンテッソーリ、レッジョ、ロダーリ、ムナーリ2026年01月16日 11:54

クリエイティブ・ラーニング・フェスティバル2025
2025年11月、ミラノのレオナルド・ダ・ヴィンチ科学博物館で、「クリエイティブ・ラーニング・フェスティバル」という教員、保育者、ミュージアムエデュケーターなどを対象とした大きなイベントがあり、その最後のセッションとして、モンテッソーリとレッジョの教育者マラグッツィに加え、二十世紀イタリアの国民的童話作家ロダーリ、芸術家、デザイナー、教育者としても知られるムナーリの四人を取り上げた公開座談会が行われました。
2026年1月からその様子がYouTubeに公開されています。

La creatività viene da lontano: Malaguzzi, Montessori, Munari, Rodari e la loro visione

登壇者は、レッジョ・エミリアから元レッジョ・チルドレン代表クラウディア・ジュデチさん、モンテッソーリ教育の専門家アンドレア・ルーピ氏、ロダーリの研究者ピノ・ボエロ氏、そしてムナーリの教育活動の協力者だったベバ・レステッリさんと、司会のマリア・サンソウダキさん(ミラノ科学博物館)でした。
それぞれの登壇者の発言については別のメディアにも覚え書きとしてまとめてみたのですが、
モンテッソーリ、レッジョ、ロダーリ、ムナーリからイタリア人が考える創造性とSTEAM
こちらのトピックではムナーリのお弟子さんであるレステッリさんの言葉をすこしだけ紹介します。レステッリさんはムナーリと共にトスカーナ州プラートのペッチ現代美術館で開催した「ラボ・リブ(自由ワークショップ)」について語りました。

Cioè qui siamo in un laboratorio plurisensoriale e qui vedete una quantità innumerevole di materiali diversi. E che cosa ci diceva Munari? aveva detto un laboratorio dove fare senza pensare, dove lasciarsi conquistare dai materiali, dalle qualità tattili e visivi dei materiali e creare degli assemblaggi, delle costruzioni, delle composizioni senza uno scopo preciso.
つまり、ここ(「ラボ・リブ」)は多様な諸感覚のワークショップで、そこには数えきれない様々な素材があります。ムナーリはこれを何と言ったでしょう?これは考えずにワークできるワークショップ、素材や素材の触覚的・視覚的な特性に魅了されて、決まった目的を持たずに組み立てや構築、構成を作れるワークショップだ、と言いました。
(中略)
Non potrebbo forse dire qui azzardo, eh, Munari, considerare Munari un precursore del tinkering ?
ムナーリを「ティンカリング」の先駆者と見なすことはできないでしょうか?

「ティンカリング」とは、「いじくりまわす」という意味の言葉から転じて、特定の目的のためでなく好奇心の導くままに素材や道具をいじくりまわし、分解し、探究を楽しみながら発想を広げる行為を意味します。「ティンカリング」については、『作ることで学ぶ Makerを育てる新しい教育のメソッド』(オライリー刊)により詳しく紹介されていますが、STEAM教育の可能性を探るこのイベントと直結した概念です。
イタリアでも、このような比較教育研究は最近になって活性化したようですが、日本の創造的な教育についても、何か新たな探究のアプローチがあるように思います。。。

461.板橋区立美術館での「触る絵本」講座(2026.1.25)2025年12月24日 09:35

「ムナーリの子どものための教育とさわる本」
以前からいろいろご縁のある、板橋区立美術館で「ムナーリの子どものための教育とさわる本」をテーマに、一日講座の講師を務めることになりました。

絵本講座「ムナーリの子どものための教育とさわる本」

開催は2026年1月25日(日)、参加募集人数は多くありませんが、ムナーリやイタリアの創造的な教育のご紹介と、触る絵本作りのヒントになるようなワークショップを準備しています。

参加お申し込みは

1月7日(水曜日)朝9時より電話にて先着(03-3979-3251)

とのこと。
1件のお申し込みにつき、2名まで受付けだそうです。

460.ムナーリと出版社2025年12月12日 18:29

TOKYO ART BOOK FAIR 2025
東京都現代美術館で開催された「TOKYO ART BOOK FAIR 2025」の会場でイタリアのコライーニ社から来日したフランチェスコ・コスタさんの講演を聴いてきました。
内容は主に1970年代後半から最晩年まで続いたコライーニ社とムナーリの関わりと、コライーニ社が復刻しているムナーリ最初期の絵本「1945シリーズ」の紹介でした。

ムナーリと出版社の関わりを調べてみると、それぞれ時代ごとにムナーリには彼のアイデアと才能を理解する出版社との出会いがありました。 ムナーリが最初に出版デザインを手掛けたのは1929年アンブロジャーナ社の絵本『ワシのひな』の挿絵だった、とムナーリの書誌研究者マッフェイがまとめています。
ムナーリは戦前から戦中にかけてモンダドーリ社のアートディレクターとして働き、「1945シリーズ」の絵本もオリジナル版はモンダドーリ社から出版されています。
戦後、1960年代にはエイナウディ社との仕事からロダーリとのコラボレーションが始まっています。またムナーリが企画監修した新しい子供のための本のシリーズ「タンティ・バンビーニ」もエイナウディ社での企画会議から生まれたとのこと。
また1960年代から晩年にかけて、教育に関する著書はラテルツァ社とザニケッリ社によるものが多いようです。
その他にも、出版社というより工業製品のメーカーですが、ダネーゼ社とのコラボレーションによって数々の生活用品とともに「プラス・マイナス」のような教育玩具や、「プレリブリ」のような画期的な「子どものための本の形をしたオブジェ」が世に送り出されました。
1970年代後半、マントヴァで現代美術の画廊を運営していたコライーニ社との仕事が始まり、コライーニ社はアート系出版社としてムナーリ晩年のもっとも緊密な協働のパートナーとなりました。
ムナーリが過去に発表した著書の復刻も多くはコライーニ社が手がけるようになり、没後の肖像権管理や著作権についてもコライーニ社が大きな役割を持っていると聞いています。

イタリアでは、デザイナーが企業のトップと直接やり取りをしながら仕事をするケースが少なくありません。この傾向は家具やプロダクトデザインに顕著ですが、出版デザインについても、少なくともムナーリは各出版社の経営者から厚い信頼を得て、それぞれの出版社に合わせた提案を行なったものと考えられます。

459.レステッリさんのワークショップの新たなサイト2025年12月02日 21:56

ムナーリのワークショップを継承し長年教育活動を行ってきたベバ・レステッリさんが自身の活動に関する資料を2024年ペル・レッジェレ財団に委託したことは過去のトピックでもご紹介しましたが、最近になってペル・レッジェレ財団による新しいウェブページ開設が進んでいることがわかりました。

BEBA LAB.

ホームページは公開されていますが詳細は準備中とのこと、今後の情報発信に期待しています。。。

458.「デザインの先生」展のムナーリの言葉2025年11月29日 17:56

「デザインの先生」展2025
先日ご紹介した、ミッドタウンのデザインサイトで会期が始まった「デザインの先生」展を秋晴れの週末に見に行ってきました。

「デザインの先生」@21_21 DESIGN SITE

展示の最初の空間では、壁面に巨匠たちの言葉が壁に映されていたので写真に収めて(※会場では空間の写真撮影はOKですが個々の作品を撮影することは禁じられていました)SNSに紹介したのですが、写真を見たイタリア人(ムナーリのお弟子さん)から「これはなんのこと?」と困惑のコメントが…。

たしかに、スクリーンに映し出されたイタリア語は「"conservare (...) la voglia di comunicare"」と真ん中を大きく省略しているので、むしろイタリア人には何のことか分からなかったのも無理はありません。
反対側の壁には日本語訳の字幕がありましたので、来場者(日本人)たちには問題ないのでしょう。
ちなみにこの言葉を省略せずに紹介するなら以下のようになります。

自分の中に子どもの心を生涯持ち続けることとは、
知ることへの好奇心、
理解することの楽しみ、
伝えることの意欲を持ち続けること

To keep the spirit of childhood
within oneself for the whole of one’s life
means retaining the curiosity of knowing
the pleasure of understanding
the desire to communicate

Conservare lo spirito dell’infanzia
dentro di se’ tutta la vita
vuol dire conservare la curiosità’ di conoscere
il piacere di capire
la voglia di comunicare.

- Bruno Munari

457.「デザインの先生」展@21_21 DESIGN SITE2025年11月15日 21:01

「デザインの先生」@21_21 DESIGN SITE
六本木(乃木坂)の新国立美術館へ出かけた道すがらミッドタウンのデザインサイトの前で来週から会期が始まる「デザインの先生」展のポスターを見かけました。

「デザインの先生」@21_21 DESIGN SITE

ブルーノ・ムナーリ、アッキーレ・カスティリオーニ、エンツォ・マリ、マックス・ビル、オトル・アイヒャー、ディーター・ラムスという20世紀の(主に)工業デザイン、生活デザイン分野の巨匠をまとめて取り上げる、という企画のようです。 会期は2025年11月21日から2026年3月8日までとのこと、ムナーリを含めどのようなまとめ方で見せてくれるのかが楽しみです。

456.ブルーノ・ムナーリ展 美術に出会う前の美術2025年11月06日 18:16

「ブルーノ・ムナーリ展 美術に出会う前の美術」という展覧会が米沢市上杉博物館で11月末から来年1月まで開催されるとのお知らせをいただきました。

「ブルーノ・ムナーリ展 美術に出会う前の美術」

会  期:11月29日(土)~令和8年1月25日(日)    
  ◇休館日:毎週月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始(12/27~1/1) 
開館時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
主  催:米沢市上杉博物館 
企画協力: 日本ブルーノ・ムナーリ研究会、NPO市民の芸術活動推進委員会
後  援: イタリア大使館、一般社団法人日本芸術教育学会、山形新聞・山形放送
料  金:一般590円(470円) 高大生190円(150円)  小中生無料 ※()内は20名以上の団体

見るところ、旧「こどもの城」のムナーリコレクションの巡回展のようで、おそらく本年、広島県で開催されたムナーリ展と連携しているのではないでしょうか。

455.TOKYO ART BOOK FAIR 20252025年10月24日 20:39

Toc toc. Bruno Munari 1945: dentro i libri!
2025年12月、「TOKYO ART BOOK FAIR 2025」というイベント?が東京都現代美術館で開催され、そこではゲスト・カントリーとしてイタリアからコライーニ社が展示参加する、という告知を見つけました。

TOKYO ART BOOK FAIR 2025
会場:東京都現代美術館


Toc toc. Bruno Munari 1945: dentro i libri!

ムナーリが1945年に発表した最初のしかけ絵本シリーズを巨大化させて「絵本の中へ(dentro i libri)」に入る感覚を楽しめる展示のようですね。
同年のボローニャ絵本フェアで同様の企画展示があったと聞いているので、これがはるばる日本までやってくる、ということかもしれません。 会期が

Week 1
 12月11日(木)12:00-19:00 最終入場:18:30
12月12日(金)- 14日(日)11:00-18:00 最終入場:17:30
Week 2
 12月19日(金)12:00-19:00 最終入場:18:30
12月20日(土)- 21日(日)11:00-18:00 最終入場:17:30

ということで限られていますが、ぜひ足を運んでみたいと思っています。
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イタリアの芸術家+デザイナー+教育者、ブルーノ・ムナーリのことなどあれこれ。
こちらにもいろいろ紹介しています(重複有)https://fdl-italform.webnode.jp/

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