374.アンコーナの美術館の映画2023年02月21日 17:23

これまでムナーリの本を日本に紹介してこられた編集者の方から「手でふれてみる世界」という映画について教えていただき、東京・田端のミニシアターで鑑賞してきました。
直接的にはムナーリは関係していない内容の映画ですが、映画で紹介されているアンコーナのオメロ国立触覚美術館とは、2020年にムナーリとモンテッソーリの合同企画展が開催されたミュージアムです。
ムナーリは「触覚のワークショップ」以外にも「目の見えない少女のための手紙」という触って「読む」オブジェを作っていますし、映画の中にもムナーリの展覧会の様子がちらっと紹介されています。
目の見えないご夫婦が作り上げたというこのミュージアムでは、すべての展示作品(主にイタリアの古今の彫刻作品のリプロダクションのようです)を触って鑑賞することができるそうです。
美術館は視覚に障害のある人たちに対して門戸を閉ざしている、という指摘は、確かにそうかもしれません。イタリアではオメロ美術館とローマのパラティーノ美術館だけが作品のほとんどに触れることができるそうですが、それ以外の美術館でも触って作品を鑑賞する試みは広がっているようです。
映画の最後にはペーザロの広場にあるベンチと一体化した彫刻作品に触れながら、オメロ美術館館長のグラッシーニさんと彫刻家のヴァンジさんが「アートは人々の(生活する空間の)中にあるのが良いのです。特に子どもたちは、生活の中で美に触れるべきです」という会話を交わしていました。
美を感じること、生の喜びを感じることは、障害のある人にとってもそうでない人にとっても大切なことだと感じる素敵な映画でした。
https://le-mani.com/ (2022年製作/60分/日本)

この映画を監督した岡野さんは静岡にあるヴァンジ彫刻庭園美術館の副館長さんだそうです。ヴァンジ美術館は過去にムナーリの展覧会が開催されたところでもありますが、現在は閉館中で今後の存続が検討されているとのこと。美術館の再開を期待します。

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