408.レステッリさんの新刊イベント@ミラノ2024年04月02日 10:52

出版イベント
2024年2月にミラノでお会いしたムナーリのお弟子さん、レステッリさんが昨年上梓された、ムナーリのメソッドによるワークショップの本の最新刊「ヒモで遊ぼう(GIOCARE CON FILI)」の出版イベントが4月4日におこなわれるそうです。
著者レステッリさんと、ミラノ・ビコッカ大学のズッコリ教授によるトークがあるとのこと。
パルマのムナーリ展ともども行きたいのはやまやまですが…(泣)

402.モジュールの玩具1977-20242024年03月05日 22:24

モジュールの玩具1977-2024
2024年2月13日にヴェローナのチルドレンズ・ミュージアムを訪問しました。
Children's Museum Verona
https://www.cmverona.it/en/
このミュージアムはミラノやジェノヴァ、ローマの子どもミュージアムと協力して2020年3月にイタリアで新型コロナウイルスのパンデミックが発生した緊急事態の中で「子どものための新型コロナウイルスを知る絵本」を世界中に向けて、いち早く発信したところです。
施設や運営内容もとても興味深かったのですが、帰り際にお土産に頂いた、プラスチックの小さなモジュールを組み合わせて色々な構造が作れるおもちゃを日本に持ち帰り、ふと偶然にムナーリの名著『ファンタジア』を開いてみたら全く同じものが紹介されていることに気づいてびっくりしました。
もしかすると、イタリアでは昔からポピュラーなおもちゃなのでしょうか…?

393.「猫のメオ・ロメオ」について2023年12月17日 10:24

ムナーリのデザインした猫のおもちゃ「メオ・ロメオ」について、ピレッリのアーカイブらしきウェブページにムナーリ本人による説明をみつけました。
「発砲ゴムとナイロンのヒゲをもった猫のメオ・ロメオ(Gatto Meo di gomma piuma ha i baffi nailon)」
Pirelli RIVISTA D’INFORMAZIONE E DI TECNICA
https://www.rivistapirelli.org/en/book/umanesimo-industriale/
猫がやわらかく、なめらかで、清潔で、いろいろな体勢にさせてもフィットし、どこにもおしっこをせず、毛づくろいをする必要もなく、餌をやる必要もなく、そして例えば、ナイロンのひげがあれば、これ以上何を望むべきだろう?実際、メオ・ロメオに足りないものは何か?彼に足りないのは声で、それは承知しているが、モナリザだって同じ事だ。モナリザは触っても柔らかくないし、動かないし、振り向かせることもできない。 メオ・ロメオは、現代の子どものためにデザインされた新しい発砲ゴム性のネコなのだ。それは生まれたばかりの子猫の背丈に近く、手のひらより少し大きいサイズのメオは、黄色い目をした黒猫で、他にも白や黄色、グレー、茶色、など…の兄弟がいる。みんなメオと呼ばれ(名字がメオ、姓がロメオ)、メオはズッキーネの季節に生まれた。 私にとって、子どもの本やおもちゃをデザインしその製作プロセスを見守ることは喜びだ。子どもたちは理想的な公衆であり、自分の欲しいものを知っていて、先入観がなく、気に入らないことがあれば、お世辞を言うこともなく、すぐに気持ちを口にする。大人達も層であれば関係はもっとシンプルになるだろうに。 猫の設計図を見ながら、私は笑みを浮かべずにはいられなかった。大きな紙の上に、コンパス、定規、ミリメートルを使ってひとつひとつ目盛りがつけられ、まるで交通監視員が車を止めるように、猫の足と尻尾、A-B断面、右側面、猫の尻尾の縦断面などがデザインされていく。その後、金型や反転型、最初のモデル、そして難関となる猫のひげの取り付け。しかし、今やすべてが完成し、製造の準備が整ったようだ。 私もこの量産化を推進したいが、巨大で複雑な機械だらけで,まるで一つの町のような工場群の中で、どうすればいいやら、私ブルーノ・ムナーリは体重48キロで多くの仕事を混乱させたくはない 、私のネコが街角で、クリスマスに飼い猫をせがむ多くの子どもたちと一緒になれる日を待っている。
Quando un gatto è morbido, liscio, pulito; quando lo puoi mettere molte diverse posizioni e lui ci sta, quando non fa la pipi in nessun luogo, non devi curarlo, non dargli da mangiare e poi, dicom quando hai baffi di nailon cosa vuoi di più? Che cosa gli manca infatti a Meo Romeo? Gli manca la voce Io so, ma alla Gioconda. E la Gioconda non è morbida al tatto, e’ immobile, non puoi farla voltare. Meo Romeo è il nuovo gatto di gommapiuma ideato pervi bamnpbini modrni. Grande poco più di un palmo, misura simile alla statura dei gattini da poco nati, Meo è gatto nera con occhi gialli ea ha altri fratelli: uno bianco, uno gialli; uno grigio, uno marrone e uno... Tutto si chiamano Meo (Meo dl nome e Romeo di cognome) e il Meo è nato al tempo delle zucchine. Per me, devo dirlo, è un picere ideare e seguire la costruzione dl libri o di giocattoli bambini. I bambini sono un pubblico ideale, sanno quello che vogliono, non hanno preconcetti, se una cosa non gli piace Io dicono subito senza tanti complirnenti, anche gli uomini fossero cosi sarebtero semplificati molti rapporti. Mentre seguivo i disegni costruttivi del gatto non potevo trattarmi dal sorridere. Su di un grande foglio di carta, scala uno a uno, con compasso, riga e miIIimetri, il gatto aperto come un vigile che fermi le macchine anche con le gambe e la coda, sezione A-B, fianco destro, sezione longitudinale della coda del gatto e via progettando. Poi gli stampi e i cotrostampi e i primi modelli, poi un punto diffidle: l'attacco dei baffi del gatto. Ma ora sembra tutto finito e per la produzione. Vorrei anche sollecitare questa produzione ma come faccio, in quell'enorme complesso di stabilimenti, grande come un paese, dove si muovono interessi grossi, io, Bruno Mimari, del peso di 48 chili, non mi sento di disturbare tanto Iavoro e aspetto il mio gatto all'angolo della strada, assieme a tanti bambini che mi hanno chiesto per Natale Io possono avere.
…クリスマスのプレゼントにぴったり、と書いていますね。

390.ムナーリの教育センター構想2023年11月05日 11:30

ムナーリの教育活動が社会全体の創造性の向上を願ったもので、彼の晩年の大きな継続的テーマであったことは、これまで調べてきたことからかなり明らかになってきました。
これを裏付ける資料が、数年前に入手していた『長期的なプロジェクト(Un progetto a lungo termine』という研究書の最後に示されていました。
Miriam Nocchi Croccolo, 2005, "Un progetto a lungo termine : I laboratori di Bruno Munari Nel mondo da Brera 1977 a S.Paolo in Brasile 1995" p.102

Munari ha tentato varie volte di far nascere a Milano un centro per la creatività infantile; centro che avrebbe dovuto sorgere nell'area dello "ex zoo", spazio questo con il vantaggio di essere vicino al Planetario e al Museo di Storia Naturale.
Almeno quattro assessori di giunte diverse se ne sono occupati e ne hanno parlato, ma tutto è rimasto sulla carta.
Ne sono testimonianza le lettere al "Gentile Assessore" riportate dalla rivista «Leggere», diretta da Rosellina Archinto (meritevole ed infaticabile direttrice dell'ormai mitica collana di libri per bambini Emme Edizioni), in occasione degli 89 anni compiuti da Munari nell'ottobre del '96.
ムナーリは何度もミラノに子どもたちの創造性のための施設(センター)を設立しようと試みた; この施設は、かつての動物園の跡地に建設される予定で、プラネタリウムや自然史博物館に隣接するという利点があった。(訳註:この記述から、構想された施設はミラノ中心部の公園Giardino Indro Montanelli内を想定していたと考えられる)
少なくとも4人の異なる議会の議員たちがこの問題を扱い議論したが、すべては書類上の検討にとどまっている。
(伝説的な子どものための本シリーズに関わったエンメ・エディツィオーニ出版社の功労者であり不屈の編集者)ロセッリーナ・アルキントが編集長を務めていた雑誌『レッジェレ』が、1996年10月のムナーリ89歳の誕生日に報じた「親愛なる評議員へ」の手紙がそれを物語っている。
«Gentile Assessore, propongo alla sua attenzione quanto era già stato proposto all'Assessorato all'Ecologia in merito all'ipotesi che prevede nell'area dell'ex zoo una stazione di sperimentazione e documentazione dei laboratori di stimolazione della creatività infantile. Molti di questi già funzionano col mio metodo in diverse nazioni: Francia, Giappone, Stati Uniti, Israele, Spagna, Venezuela, Brasile e in Italia nei musei di Faenza e Prato».

La grande richiesta di questi laboratori, non ultimo quello collegato alla mostra LEGO alla rotonda della Besana promossa dal Comune di Milano, fa pensare quanto sarebbe utile per Milano, che ha visto nascere i laboratori a Brera nel 1977, dotarsi di un centro internazionale di informazione, sperimentazione e verifica continua del metodo. Il centro di informazione lavorerà a stretto contatto con le scuole milanesi che a rotazione, parteciperanno (insegnanti e bambini) alla sperimentazione.
Non dimentichiamo che il bambino di oggi è il cittadino di domani e che un bambino creativo è un bambino felice...
「親愛なる評議員の皆様、私(ムナーリ)は、これまでに(ミラノの)旧動物園跡地に子どもたちの創造性を刺激するためのワークショップの実験と記録のための施設を設置する計画を環境局に提案していることを、皆様にお伝えいたします。このワークショップの多くは、すでにフランス、日本、アメリカ、イスラエル、スペイン、ベネズエラ、ブラジル、そしてイタリア国内のファエンツァとプラートの美術館など、さまざまな国で私のメソッドによって実施されました。」

ミラノ市議会が推進したロトンダ・デッラ・ベザーナ(訳註:ミラノ市内中心部の旧修道院で、2014年以来MUBA:ミラノ・チルドレンズ・ミュージアムの拠点)でのレゴ(ブロックの)展覧会に関連したワークショップはもとより、これらのワークショップに対する大きなニーズは、1977年にブレラでワークショップを開催したミラノにとって、情報提供、実験、手法の継続的検証のための国際的なセンターがあれば非常に有益なものであると考えられる。この情報センターはミラノの学校群と密接に連携し、学校(の教師と子どもたちが)は交代で実験に参加するだろう。
私たちは、今日の子どもは明日の市民であり、創造的な子どもは幸せな子どもであるということを忘れてはならないのだ。

ムナーリは、1985年の来日の際ワークショップを行った東京の「子どもの城」の施設からも触発されていたことが想像できます。残念なことに「子どもの城」はいまはなく、しかしミラノには2014年以来、ムナーリのワークショップとも関連をもった子どものための文化活動を展開する「MUBA」(ミラノ・チルドレンズ・ミュージアム)が生まれました。

377.ムナーリと「教育協力運動(MCE)」の関係2023年03月26日 12:04

Roberto Pittardo-Munari dei bambini
以前から何度か引用して紹介している本『Su Munari(ムナーリについて)』には、デザイナーから芸術家、その他さまざまなムナーリの活動に関わりのあった人たちがムナーリの思い出を語っています。

その中にムナーリと子どもの教育について関わりのあったRoberto Pittardo(ロベルト・ピッタルド)という人の一文を見つけて、そこからたぐっていった結果、レッジョ・エミリアの幼児教育に大きな影響を与えたMCE:教育協力運動という1950-70年代の教育改革運動の中心人物の一人マリオ・ローディとムナーリが一緒にヴェネト地方(ヴェネチア周辺のイタリア東北部)における子どものための創造的な教育活動に関わっていたらしいということが分かってきました。
マリオ・ローディと教育協力運動については、『わたしたちの小さな世界の問題』という邦題で田辺敬子さんが訳された教育実践の名著が日本でも紹介されています。
これまでイタリアのムナーリに関する論文の中で、ムナーリと教育協力運動に接点があったことが触れられているのを読んでいましたが、すこしづつ戦後イタリア社会に広がった教育の改革への波の中でムナーリが果たした役割が見えてきそうな予感がしています。

なお、ムナーリやローディ、ピッタルドの関わった活動は現在も継続されているようです。
https://lascuoladelfare.it/

376. 子どものTV番組とムナーリ2023年03月19日 20:46

TV番組「アルベロ・アッズーロ(青い樹)」
375のトピックに紹介した記事の中に「ムナーリは1990年代に最初のユニークな未就学児向けテレビ番組:アルベロ・アッズーロ(青い樹)をRAI(イタリア国営テレビ局)で制作した。」と書かれていました。
すこし調べてみたところ、これはムナーリ一人の仕事と言うより、イタリアの(国営)放送局(RAI UNO)から放映された子ども番組の作家としてムナーリが関わっていた、ということのようです。
YouTubeなどで検索すると同番組がどんなものだったのか、いくつかの動画を確認することが出来ますが、日本でいえば「お母さんといっしょ」に近いものだったようで、ムナーリの特徴が確認できるモノは見つかりませんでした…。

https://www.facebook.com/watch/?v=472891223971229
アクセス2023/03/18
L'albero azzurro è un programma televisivo italiano della Rai. È il programma per bambini più longevo della televisione pubblica italiana, in onda sin dal 21 maggio 1990.
Presentandosi come primo esperimento televisivo in Italia su target prescolare (dai 3 ai 14 anni), il programma si riallacciava, inizialmente, al filone pedagogista delle produzioni Rai degli anni sessanta unito al lavoro di autori (Bianca Pitzorno, Bruno Tognolini, Roberto Piumini, Emanuela Nava, Mela Cecchi, Bruno Munari, Renata Gostoli, Claudio Cavalli, Nico Orengo, Laura Fischetto, Lorenza Cingoli, Giona Peduzzi, Magda Barile, Michela Marelli, Gianluca Col, Claudia Sasso e Mauro Carli)

L'albero azzurroは、RAIによるイタリアのテレビ番組である。1990年5月21日から放送されており、イタリアの公共テレビで最も長く放送されている子供向け番組である。
イタリアで初めて就学前(3歳から14歳)を対象にしたテレビ番組の実験として、当初は1960年代のRAI制作の教育学的側面と作家たち(Bianca Pitzorno、Bruno Tognolini、Roberto Piumini、Emanuela Nava、Mela Cecchi, Bruno Munari、Renata Gostoli, Claudio Cavalli, Nico Orengo, Laura Fischetto, Lorenza Cingoli, Giona Peduzzi, Magda Barile, Michela Marelli, Gianluca Col, Claudia Sasso e Mauro Carli)の仕事を組み合わせた。

373. N.Y.のムナーリ展2023年02月02日 06:03

CIMA
2022年末からちらちらと情報は入っていたのですが、個人的に縁の薄いアメリカのことでスルーしていたニューヨークのイタリア現代芸術センター(CIMA)での「ブルーノ・ムナーリ、内なる子ども」のサイトを覗いてみました。すでに会期は終了しているようですが、ムナーリがデザインした子どものための本などが中心に展示されたようです。
https://www.italianmodernart.org/exhibition/bruno-munari-the-child-within/
(英語)
2023年1月にはムナーリの生地ミラノに近いヴィメルカーテ(Vimercate)という街でもムナーリの展覧会が行われているようです。。。
https://www.museomust.it/munari/
(イタリア語/英語)

363.ムナーリ・メソッドの本2022年07月18日 06:20

昨年からイタリアで出版されていたブルーノ・ムナーリ協会監修の「成長するために作る(Fare per crescere)」シリーズの一部が手に入りました。
書籍の注文そのものはウェブページから可能(イタリア語のみ)なのですが、国外発送を受け付けていないので色々な助けを借りてなんとか入手、という感じです。
実物は写真の印象よりも一冊が大きく立派な本でした。このシリーズは全45冊ということで、全てが入手できるかはわかりませんが、最新のムナーリの教育に関する資料なのでじっくり調べていきたいと思います。。。

360.Frottage(Magis)2022年04月07日 08:03

Frottage, Magis, D.Guidone
ムナーリの教育玩具に関わるデザインコンペティションを勝ち抜いた子どものためのプロダクトがイタリアで商品化されたそうです。
なんとデザイナーのデニス・グイドーネさんは現在日本で活躍されているとわかりました。なお商品化にはムナーリのお弟子さんだったレステッリさんが協力しています。
https://www.denisguidonedesign.com/

このプロダクトは「フロッタージュ」と名付けられたシリコン製のシートのセットで、表面にはさまざまな凸凹がデザインされていてその上に紙をのせてクレヨンなどでこすると模様が浮かび上がります。
この発想はムナーリが「ブレラ美術館のワークショップ」で「テクスチャー」と名付けて実践したものから生まれたようです。
日本にもショールームのある「Magis(マジス)」から商品化され、2022年現在青山のショールームでも現物を見ることができます。

359.ムナーリのメソッドで作って学ぶ本2021年08月21日 19:59

イタリアのブルーノ・ムナーリ協会が監修した、ムナーリの教育メソッドで作ったり描いたりしながら学ぼう、という子どものための図書シリーズがイタリアで刊行開始だそうです。
第一巻は8月28日発売だそうですが、日本で手に入れるにはちょっと工夫がいりそうです。
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イタリアの芸術家+デザイナー+教育者、ブルーノ・ムナーリのことなどあれこれ。
こちらにもいろいろ紹介しています(重複有)https://fdl-italform.webnode.jp/

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