294.マントヴァでのワークショップ(i laboratori tattili-23)2019年04月30日 17:37

1984年10月から11月に、(マントヴァの)マウリツィオ・コッライーニ(Maurizio Corraini)現代美術ギャラリーでのワークショップ。ギャラリーの一室の中央で、子どもたちは金属製のベッドのような「アビタコロ」(ムナーリがデザインした金属製のユニット家具)と出会った。  沢山のボルトで組み立てられたアビタコロの上には、フレームが隠れるほど一杯の山のような素材であふれている。子どもたちはそこによじ登り、入り込み、飛び上がり、また繰り返し出入りしながら、そこにあるすべてのものに触れてみることができる。  アシスタントの大人が子どもたちに触感を表現する言葉を投げかける:柔らかい、フワフワする、ぐにゃぐにゃする、ザラザラする、などなど。こうして子どもたちは自分の感じている触感を言語化して覚えていく。  そして最後に、(大人たちにとって)唯一なにより大変なのは、子どもたちをこの刺激的な代物から引き離して、家に連れ帰ることだったろう。

293.トリエステでのワークショップ(i laboratori tattili-22)2019年04月21日 22:04

 1984年10月、ナディア・バッサネーゼ(Nadia Bassanese)のスタジオで開催されたムナーリ展に合わせてワークショップが行われた。展覧会開催中の毎日、スタジオではワークショップが開かれた。スタジオの一室には部屋の中央に四角く囲われたエリアを設け、山のように切り刻まれたさまざまな触り心地の素材が用意された。子どもたちはその周りに置かれた布のソファに座り、靴を脱いで講師(ムナーリやその他のスタッフが各回のワークショップに関わった)が話しかける内容:まず、顔やシャツや靴などいろいろなものをを触ってみよう、という話を聞いた。そして、子どもたちは素材のエリアに入っていろいろなものに触れ、素材の違いを見つけたり、コントラストのある組みわせやわずかな感触の違いの組み合わせえを感じながらそれぞれのオブジェを作ってスタジオの壁に飾っていった。  (p52写真説明)トリエステでのワークショップは、(フリウリ)州の教育研究センターと、マリアグラツィア・チェッリ(Mariagrazia Celli)、マリネッラ・ラヴァリコ(Marinella Ravalico)、マリーザ・ロッセッティ(Marisa Rossetti)らによって準備された。  ワークショップには幼稚園の教師や展覧会に付き添ってきた保護者も参加した。  (p53写真説明)子どもたちが彼らの感じた触感を伝える、異なる素材の組み合わせや直線的構成、ブックレット型などの力作の例。

292.触覚の構築物(i laboratori tattili-21)2019年04月16日 08:37

 細長いパネルや、帯状の厚紙、紐やリボンなどにリネアな触覚の構成(作品)を作るやり方以外にも、いろいろな素材、いろいろな触覚を組み合わせてオブジェを作ることもできる。 (作品写真)これらのオブジェは(平面的構成とは)また違った遊び方ができる。外側から、内側から、右側から、左側から、片手で、両手で、さまざまに触れることができる。  触っていく順序(ルート)を決めても良いだろう。それぞれのルートから触覚の刺激により異なる物語が生まれるし、そこに具体的なイメージを与えても良い: ネコみたいな柔らかさ、街路みたいな固さ、壁のような粗い感触、鉢のようなへこみ、瓦のようなでっぱり。今度はどんな物語が生まれるだろう?

291.その他のワークショップ(i laboratori tattili-20)2019年04月12日 23:50

(p43写真説明) 学校で行われた触覚のワークショップ。壁には触り心地を比べるパネルが、テーブルには触ったり組み合わせたり混ぜ合わせたりできるたくさんの素材が用意されている。 (p43写真説明) 素材に触りながら、その感触を覚えていく。 (p44写真説明) 自分の髪に触ってごらんなさい、セーターに触ってごらんなさい、ほっぺたに触ってごらんなさい、メッタ・ジスロン(Metta Gislon)が子どもたちに語りかける。お母さんのほっぺたはどんな感じ?やわらい!お父さんのほっぺたはどんな感じ?ザラザラしてる! 学校にある素材を使っていろいろな方法で構造物を作り、いろいろな布素材でこの木製の骨組みを覆ってみよう。 床に広がったおがくずや発泡スチロール(梱包材)。子どもたちは全身を使って触覚の感覚を味わう。 屋外に出れば、より多くの触覚の体験を与えることができる: 草、土、葉っぱ、枝、芽、石… そしてワークショップに戻って、紙を切ったり折り曲げたり濡らしたりしながら、(屋外で感じた)感触を再構成することができる。 そして、ふたたび屋外で遊ぶための何かがそこで生み出される。

290.その他のワークショップ(i laboratori tattili-19)2019年04月09日 20:54

 最初のワークショップから得られた経験をもとに、表現作品を実現するためのテクニック、ワークショップの(時間的な)進め方、有効な素材の取捨選択などのメソッドが明らかになった。 複数の小学校からワークショップに関する問い合わせが届き、1980年から81年には(最初のワークショップ指導に関わった協力者の一人である〜写真説明より)メッタ・ジスロンによるワークショップを含め、「アートと遊ぶ」ワークショップ関係者たちのミラノやその他の町に触覚ワークショップが開催された。  最初のワークショップでの実験に限らず、いくつものワークショップから得られた経験から、いろいろな学校の既存設備の活用も広がった。  子どもたちは、床に広げられた大きな素材の表面に触れながら自分の身体をつかって触覚の体験をしたり、(彫刻家)スタッチョリ(のワークショップ)からつながる空間の感じ方を学ぶ。  スペースを狭く、とても狭く区切ったり、広く、とても広く区切る要素によっても遊びが生まれる。より小さな子どもには、いろいろな材料が広がったところから選んだものを列に並べながらそれぞれの違いを感じ取る(観察する)遊びを勧めることができる。  通常は体操などに用いる学校の設備(道具)をいつもとは異なるやりかたで一種の小屋のように組み合わせると、子どもたちがそこに出たり、入ったり、触ったり、何か(感じたこと)を語ったりできる仕掛けができた。  すべての試みは教師たちとの話し合いから生まれ、こうして教師たちの考えを取り入れることで彼らもワークショップのプロジェクトに何かを寄与することができる。 (写真説明)メッタ・ジスロンはアートで遊ぶワークショップの最初の協力者の一人。写真の場面では女の子に触り心地を試させている。

289.最初の触覚ワークショップ(i laboratori tattili-18)2019年04月07日 22:52

(ワークショップ写真説明) 子どもたちは自分たちの作った触覚のコンポジション(構成)を喜んで見せてくれる。あっという間に、ワークショップの空間はたくさんの触覚の構成パネル(作品)でいっぱいになった。

288.最初の触覚ワークショップ(i laboratori tattili-17)2019年03月26日 12:50

 このようなワークショップでは、保護者であれ係員であれ大人の手助けは情緒面(勇気づけ)と技術面なものであって、(美術的な)表現としてこうすべき、といった助言は絶対に慎まなければならない。  どうすれば不必要に汚れたりしないで糊付けができるか、より思い通りに素材を繋ぎ合わせられるかといった助言は有用である。しかし、こうすればこうなる、といった既成の知識を与えてはいけない。子どもはできる限り自立した存在になるべきである。  触覚的な世界に親しむことは、微細な違いを感じたり、視覚に頼らずよく似た性質のものを区別したり、有用な知識を得てコミュニケーションに役立ることから豊かな人間性発達の助けとなる。  このような、異なる方法による理解とコミュニケーションのやりかたを身につけることは(子どもの成長に)安心を与えてくれる。

287.最初の触覚ワークショップ(i laboratori tattili-翻訳16)2019年03月25日 22:37

 リップルボード(片面段ボール)は特別な触感のコミュニケーションが作れる素材なので、いろいろに切り取った素材を思いのままにパネルに貼り付けると、波うった表面に触れながら、途切れたり、止まったり、道から逸れたり、といった方向性のある触感を感じ取ることができる。

286.最初の触覚ワークショップ(i laboratoti tattili-翻訳15)2019年03月16日 20:57

 触感のメッセージを構成するためのすべての材料は、(子どもたちが)構成しややすいようにあらかじめ細かくカットされている。もしシンプルな感覚を(メッセージとして)与えたい場合は一つだけ、長い感覚を与えたいなら同じかけらを並べてみることができる。

285.最初の触覚ワークショップ(i laboratoti tattili-翻訳14)2019年03月07日 20:12

 1977年、ミラノで初めての触覚ワークショップが行われた。このワークショップはパリ・ポンピドゥーセンターでの展覧会「両手は観察する(Le mani guardano)」展と連携したものである。  パリでの展覧会では触覚ワークショップ開催はできなかったが、ミラノの展覧会では主催者の希望から展覧会に近い二つのホールを使ってワークショップが開催された。  展覧会では、来場者はいろいろな素材に、模型に、レリーフ状の地図に、そして中の見えない箱の中に手を差し入れその中身に触れることができる。  ワークショップは、ミラノ・ブレラ美術館のワークショップで企画された「アートで遊ぶ(Giocare con l'arte)」から展開・準備されたものだった。 このワークショップは、レナート・エーコがメッタ・ジスロン、コーカ・フリジェリオ、トニーノ・ミリーテの協力により実施したものだった。  ブレラのワークショップのように、先生に引率された小学生たちは小一時間ほど、そこでいろいろな触覚を体験していった。  フランスの(ポンピドゥーの)展示とつながる大きな入り口の扉には、ワークショップへの出入り口が、触り心地を感じながら通過する幕になっていて、子ども達や大人達は幕に触れてかき分けながら色々な素材の触り心地に触れて通過するようになっていた。この仕掛けが、入場者にとってすべて展示物に触れられるこの展覧会のイントロになっている。  ミラノ市から提供された材料と、元から用意されていた材料から、子どもたちは経験に必要なすべてのものを見つけられる:紙やすりからフィルムにいたる、あらゆる種類の特徴的な触覚的な素材、色々な素材の触感についての説明パネル、自分たちで選んだ素材を貼り付けることができる木製パネル(タブレット)などが準備された。  ワークショップ開催中、レナート・エーコは彫刻家スタッチョリを招いて、大きな空間で触覚と空間に関する実演を開催した。  このイベントには多くの教師が参加し、スタッチョリは約80平米の空間に異なる素材の組み合わせによる製作を披露した。参加者達は空間の状況と素材の間にも関係性が生まれることを理解することができた:触感には、距離や位置との関係の中でも多様性(組み合わせ)が生まれる。  展覧会の来場者のために用意された何種類かの「触感の定規」からは、フワフワ、ザラザラ、硬さや柔らかさなどの色々な触感のグラデーションを感じることができる。  これは色々な素材による色々な触感のカタログのようなものでもある。
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イタリアの芸術家+デザイナー+教育者、ブルーノ・ムナーリのことなどあれこれ。
こちらにもいろいろ紹介しています(重複有)https://fdl-italform.webnode.jp/

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