332.ムナーリ協会会長のインタビュー記事2020年05月15日 15:50

ブルーノ・ムナーリに関するウェブサイトを立ち上げたムナーリ協会会長(数年前、NHK「奇跡のレッスン」でも紹介された方です)のインタビュー記事をご紹介します。
https://www.artribune.com/professioni-e-professionisti/didattica/2020/05/imparare-con-munari-intervista/?fbclid=IwAR0x9x-qzkWAvAMKZgeq73iTG-5_ZaZcmLEOBSC_acfEKMdXTvvTm9R6NsQ
(アクセス:2020/5/10)
「ウェブ時代に学べるムナーリのメソッド」 2020年5月9日付  文:アンナリーサ・トラサッティ ムナーリ・メソッドを詳述するウェブサイトを、ロックダウン中にネット公開したブルーノ・ムナーリ協会会長に聞く。 (訳注:「お家でムナーリ」、現時点ではイタリア語のみ https://www.incasaconmunari.it/index.html)  家が...この歴史的瞬間に家ができた。ブルーノ・ムナーリ協会は、子どもも大人も実験を通して創造的な方法で自分たちの世界を生きるのを助けるため「お家でムナーリ」というサイトでウェブ上にスペースを提供している。シルヴァーナ・スペラーティ会長に聞いた。
(問)ブルーノ・ムナーリについてはみな知っていますが、あなたが会長を務めるムナーリ協会は、いつ誕生したのですか?

 ブルーノ・ムナーリ協会(ABM)は、ブルーノ・ムナーリの没後数年後の2001年に、彼の息子であるアルベルト・ムナーリ教授、ジャン・ピアジェの学生であり共同研究者でもあった心理学者・認識論者であるドナータ・ファブリ教授と共に、芸術家の協力者を集めたMU-NARIグループによって設立されました。協会が設立された主目的の一つは、かの芸術家のアート、デザイン、教育へのアプローチを特徴としたオリジナルな要素を抽出するということでした。ブルーノがお祝い事を望んでいないことはわかっていましたが、彼の洞察力と本物の思考が、他の文化芸術関係者、そしてもちろん子どもたちへの刺激になったら嬉しいですね。
(問)協会の目的と主な行動とは?

 ABMの活動はブルーノのメソッドの遺産の研究と体系化を主な目的としていたので、時間が必要でした。その間、教師からデザイナー、文化事業者、そしてアーティストなど、彼のメソッドについてもっと知りたいと思っている多くの人々に向けて、ムナーリ・メソッドの高度なトレーニングプログラムが開発できました。それは個人的な成長の時間でもあり、創造性に対する自分自身のアプローチとの積極的な関わりの時間でもありました。この20年にわたる活動では、アルベルト・ムナーリとドナータ・ファブリから多大な方法論的支援を得て、ムナーリ・メソッドの構成要素を正しく定めることができました。こうして多くの生徒が「ムナーリの再現」(これは不可能なことですが)ではなく、彼のアプローチの要素を用いて新しい可能性を発見し、別の視点から彼の作品を見直すことができるようになったのです。
(問)この中で、ワークショップの役割は何なのでしょうか?

 ブルーノ・ムナーリ協会は展覧会と連携するワークショップに関するものなど、かの作家の直感の一部を「役に立たたない」ものでない、それ自体が「未来へ」、すなわち子どもたちのために実験の次元を提供する、文化的な活動で発展させることに力を注いできました。それら重要な努力は最後に新しいプロジェクトに向かいます:その一つは2015年万博イタリア館でのムナーリのインスタレーションで、日本のテレビ番組とのコラボレーション、ローマ市との10年間の活動、子どもたちへのサービスなどもあります。
(問)ポータルサイトのアイデアはどのようにして生まれたのですか?

 このプロジェクトは、家庭での不安についてクレモナのIncodeのウェブデザインスタジオとの何気ないコンタクトから始まり、本当にクリエイティブな発端からでした。(新型コロナウイルスの)健康上の緊急事態を考えると、彼らは家の中にあるものしか使えない状態で「(つねに)子どもと一緒にいる」新しいスタイルを設計しなければならないことに気付きました。ムナーリメソッドがどのように様々な文脈で適用できるかを示し、限界(余儀ない状況)を創造的なリソースに変換することができる全てのオリジナルな活動を構想し、実験し、提案してきたプロジェクトの中で生まれた内容を示しています。設計、実装、継続的な更新のフェーズを、一定ではあるが「遠隔」的対話で共有することで、このウェブサイトは生まれました。ここでも限界を克服し、通常の行動の自由を許さない状況でも実験や研究ができることを証明していると言えます。
(問)どのようにプロジェクトを進めたのですか?

 このプロジェクトでは様々なスペースを提示し、自分自身の行動で完結しない、刺激を生み出すオリジナルなワークショップ活動を提案しています。むしろ子どもや親が全く違った視点で家庭を見直しいままで考えなかった発見をするような、リアルな実験の活性化です。芸術への参照は連続的であり、好奇心を拓いてより多くのことを学ぶ欲求を開発できます。緊急事態を乗り越えて、子どもたちと共に新しい在り方や遊びを刺激したいというプロジェクトです。
(問)ウェブサイトをデザインする際には、どのような受け手を想定したのでしょうか?

 私たちはまず、そこから子どもとの違った体験ができ、新しい関係性を発見することができであろう、仲介者やファシリテーターになれる両親のことを考えました。より創造的な技術の活用の提案で自律的な研究への刺激を見出すことができる年長児についても考え、授業を提案する指導や行動の提案ができる教師についても考えました。「お家でムナーリ」を使ってくれる人に継続的に参考にしていただけるように、個人的回答を掲載したニュースレターサービスも開始しました。
(問)どのようなコミュニケーションの戦略を立てたのでしょうか?

 協会のFacebookとアドレスに送られたメールをもとにしたとてもシンプルなコミュニケーションです。そして、新たにFacebookとInstagramの専用ページを開設しました。イタリア全土からの反応はすばやく、非常に良い感触です。予想以上にも二日目にはすでに4500人以上の人が同時にサイトに接続していました !さらに、このプロジェクトへの注目は国を越えており、アメリカ、イギリス、スイス、フランス、スペイン、日本からもアクセスがあります。これは私たちの大きな喜びとなり、人々が必要性を感じていると確認できました。
(問)誰も備えができなかったこの歴史的な出来事に立ち向かうためには、創造的な思考、好奇心、自然との関係性が必要であり、これらがこれまで以上に重要なツールとなっています。最近の子どもたちにおすすめしたいことは何ですか?

 この時期の生き方を一番よく知っているのは子どもたちだと思うのです。彼らの並々ならぬ適応力でそれを見せてくれています。私たち大人は、準備ができていなかったことが起きてしまったことを利用して、今まで重視してきた優先順位や価値観を反省し、もっといいことができないかと考えるべきなのかもしれません。すべての危機は積極的なリストラクチャー(改革)をもたらすべきで、そうでなければ何の役にもたちません。だからこそあらゆる分野で創造性が本当に必要とされているのです。創造性こそ、「子どもは未来なのだ」とムナーリが言ったように若い世代の教育に新たな姿を見せなければならないのです。
(問)ABMは最近、アンコーナのオメロ国立触覚美術館で開催されたで開催された「美に触れる(ムナーリとモンテッソーリ)」展に協力参加しました。この経験はどんな反省や刺激を残しているのでしょうか?そしてこれからの触覚(の学び)はどうなるのでしょうか?

 素晴らしい空間と素晴らしいチームを知ることができ、彼らとの絶え間ない対話を活性化できたことで、この展覧会をアクティブな場所として、文化活動のプロモーションとして十分に体験することができました。私たちは展覧会の中での実践、大人のための教育的な時間、触覚をテーマにした親子のワークショップ活動などを共有し、内容への関心と参加を高めました。私たちはこの経験から多くのことを学びましたし、議論の中で出てきたことを参考にしながら、それが豊饒な交流の時間であり、興味深い新しい旅の始まりであると感じています。…将来的な触覚のことへの質問ですか?思うに、それは実践、実験、それぞれの独自の研究をする上で他の要点と同じく人にとって欠かせないものであろうと思います。さもなければ私たちは別の存在になってしまいますが、それこそあり得ないことです。

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こちらにもいろいろ紹介しています(重複有)https://fdl-italform.webnode.jp/

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