289.最初の触覚ワークショップ(i laboratori tattili-18) ― 2019年04月07日 22:52
(ワークショップ写真説明)
子どもたちは自分たちの作った触覚のコンポジション(構成)を喜んで見せてくれる。あっという間に、ワークショップの空間はたくさんの触覚の構成パネル(作品)でいっぱいになった。
290.その他のワークショップ(i laboratori tattili-19) ― 2019年04月09日 20:54
最初のワークショップから得られた経験をもとに、表現作品を実現するためのテクニック、ワークショップの(時間的な)進め方、有効な素材の取捨選択などのメソッドが明らかになった。
複数の小学校からワークショップに関する問い合わせが届き、1980年から81年には(最初のワークショップ指導に関わった協力者の一人である〜写真説明より)メッタ・ジスロンによるワークショップを含め、「アートと遊ぶ」ワークショップ関係者たちのミラノやその他の町に触覚ワークショップが開催された。
最初のワークショップでの実験に限らず、いくつものワークショップから得られた経験から、いろいろな学校の既存設備の活用も広がった。
子どもたちは、床に広げられた大きな素材の表面に触れながら自分の身体をつかって触覚の体験をしたり、(彫刻家)スタッチョリ(のワークショップ)からつながる空間の感じ方を学ぶ。
スペースを狭く、とても狭く区切ったり、広く、とても広く区切る要素によっても遊びが生まれる。より小さな子どもには、いろいろな材料が広がったところから選んだものを列に並べながらそれぞれの違いを感じ取る(観察する)遊びを勧めることができる。
通常は体操などに用いる学校の設備(道具)をいつもとは異なるやりかたで一種の小屋のように組み合わせると、子どもたちがそこに出たり、入ったり、触ったり、何か(感じたこと)を語ったりできる仕掛けができた。
すべての試みは教師たちとの話し合いから生まれ、こうして教師たちの考えを取り入れることで彼らもワークショップのプロジェクトに何かを寄与することができる。
(写真説明)メッタ・ジスロンはアートで遊ぶワークショップの最初の協力者の一人。写真の場面では女の子に触り心地を試させている。
291.その他のワークショップ(i laboratori tattili-20) ― 2019年04月12日 23:50
(p43写真説明)
学校で行われた触覚のワークショップ。壁には触り心地を比べるパネルが、テーブルには触ったり組み合わせたり混ぜ合わせたりできるたくさんの素材が用意されている。
(p43写真説明)
素材に触りながら、その感触を覚えていく。
(p44写真説明)
自分の髪に触ってごらんなさい、セーターに触ってごらんなさい、ほっぺたに触ってごらんなさい、メッタ・ジスロン(Metta Gislon)が子どもたちに語りかける。お母さんのほっぺたはどんな感じ?やわらい!お父さんのほっぺたはどんな感じ?ザラザラしてる!
学校にある素材を使っていろいろな方法で構造物を作り、いろいろな布素材でこの木製の骨組みを覆ってみよう。
床に広がったおがくずや発泡スチロール(梱包材)。子どもたちは全身を使って触覚の感覚を味わう。
屋外に出れば、より多くの触覚の体験を与えることができる:
草、土、葉っぱ、枝、芽、石… そしてワークショップに戻って、紙を切ったり折り曲げたり濡らしたりしながら、(屋外で感じた)感触を再構成することができる。
そして、ふたたび屋外で遊ぶための何かがそこで生み出される。
292.触覚の構築物(i laboratori tattili-21) ― 2019年04月16日 08:37
細長いパネルや、帯状の厚紙、紐やリボンなどにリネアな触覚の構成(作品)を作るやり方以外にも、いろいろな素材、いろいろな触覚を組み合わせてオブジェを作ることもできる。
(作品写真)これらのオブジェは(平面的構成とは)また違った遊び方ができる。外側から、内側から、右側から、左側から、片手で、両手で、さまざまに触れることができる。
触っていく順序(ルート)を決めても良いだろう。それぞれのルートから触覚の刺激により異なる物語が生まれるし、そこに具体的なイメージを与えても良い: ネコみたいな柔らかさ、街路みたいな固さ、壁のような粗い感触、鉢のようなへこみ、瓦のようなでっぱり。今度はどんな物語が生まれるだろう?
293.トリエステでのワークショップ(i laboratori tattili-22) ― 2019年04月21日 22:04
1984年10月、ナディア・バッサネーゼ(Nadia Bassanese)のスタジオで開催されたムナーリ展に合わせてワークショップが行われた。展覧会開催中の毎日、スタジオではワークショップが開かれた。スタジオの一室には部屋の中央に四角く囲われたエリアを設け、山のように切り刻まれたさまざまな触り心地の素材が用意された。子どもたちはその周りに置かれた布のソファに座り、靴を脱いで講師(ムナーリやその他のスタッフが各回のワークショップに関わった)が話しかける内容:まず、顔やシャツや靴などいろいろなものをを触ってみよう、という話を聞いた。そして、子どもたちは素材のエリアに入っていろいろなものに触れ、素材の違いを見つけたり、コントラストのある組みわせやわずかな感触の違いの組み合わせえを感じながらそれぞれのオブジェを作ってスタジオの壁に飾っていった。
(p52写真説明)トリエステでのワークショップは、(フリウリ)州の教育研究センターと、マリアグラツィア・チェッリ(Mariagrazia Celli)、マリネッラ・ラヴァリコ(Marinella Ravalico)、マリーザ・ロッセッティ(Marisa Rossetti)らによって準備された。
ワークショップには幼稚園の教師や展覧会に付き添ってきた保護者も参加した。
(p53写真説明)子どもたちが彼らの感じた触感を伝える、異なる素材の組み合わせや直線的構成、ブックレット型などの力作の例。
294.マントヴァでのワークショップ(i laboratori tattili-23) ― 2019年04月30日 17:37
1984年10月から11月に、(マントヴァの)マウリツィオ・コッライーニ(Maurizio Corraini)現代美術ギャラリーでのワークショップ。ギャラリーの一室の中央で、子どもたちは金属製のベッドのような「アビタコロ」(ムナーリがデザインした金属製のユニット家具)と出会った。
沢山のボルトで組み立てられたアビタコロの上には、フレームが隠れるほど一杯の山のような素材であふれている。子どもたちはそこによじ登り、入り込み、飛び上がり、また繰り返し出入りしながら、そこにあるすべてのものに触れてみることができる。
アシスタントの大人が子どもたちに触感を表現する言葉を投げかける:柔らかい、フワフワする、ぐにゃぐにゃする、ザラザラする、などなど。こうして子どもたちは自分の感じている触感を言語化して覚えていく。
そして最後に、(大人たちにとって)唯一なにより大変なのは、子どもたちをこの刺激的な代物から引き離して、家に連れ帰ることだったろう。
最近のコメント