205.触覚主義(i laboratoli tattili-翻訳02)2007年01月05日 19:23

 1921年のパリでF.T.マリネッティは触覚を伝達と感覚の媒体とした芸術運動を目指して「触覚主義(Tattilismo)」を提唱した。彼はパネルに様々な触感の素材を貼り付け、オブジェを触りながら「作品を読む」順序を定めた最初の「触覚のタブロー(tavola tattile)」を作った。  この、未来派による触覚のマニフェストで、マリネッティはいくつかの触感的価値のレベルに注目した。第一のカテゴリーには、紙ヤスリやホイルのような素材から得られる、確かな触感、抽象的な触感、冷たい触感をグループとした。  第二のカテゴリーでは、なめらかな絹やクレープ(ちぢみ)のような、温度を感じない、理性的で説得力を感じさせる触感を、第三のカテゴリーでは、刺激的でなま暖かく、ノスタルジーを呼び起こす、ビロードやウール、綿と絹を混ぜたクレープのような触感を分類した。  第四のカテゴリーでは、触覚を刺激するような、ひりひりする触感、熱く、強さを感じさせる触感、粒々した絹や網、スポンジ状の素材の触感を選んだ。  第五のカテゴリーでは、スエード革や馬や犬の毛皮、人やハゲコウ(鳥)の肌のようにあたたかく、柔らかくて人間的な触感を、最後に第六のカテゴリーでは、あたたかみがあり元気で感情豊かな触感、素材で言えばざらざらした金属、柔らかいブラシ、スポンジ、金属のブラシのような触感を分類した。  その他のグループには鳥の毛(羽)、肉や魚のうぶ毛(鱗)などが含まれた。これらの素材によってマリネッティは「触覚のタブロー」を構成し、「触覚の芸術」という講演会で公に発表をした。  触覚主義のマニフェストの中で、マリネッティは異なる素材を使った実験による、触覚の学習を提案している。彼は作品の目的が散漫にならないよう、また触覚以外の要素へ注意が逸れないように、「触覚のタブロー」に彩色しないよう提案した。  触覚主義は詩人、音楽家、タイピストのような人々、またエロティックな、優雅な、力強い性質(の人々)に適したアート(芸術表現)だと断言することが出来る。

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こちらにもいろいろ紹介しています(重複有)https://fdl-italform.webnode.jp/

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