173. ムナーリとレーニン2006年02月21日 23:27

レーニン「国家と革命」

意外な組み合わせと言うべきか、仕事だからなのか時代の反映なのか、ムナーリがレーニンの著書「国家と革命」のカバーデザインを手がけています(1970年の仕事)。ムナーリの政治的信条については詳しいことは分かりませんが、前衛芸術と社会主義(思想としての)の距離がきわめて近かった時代背景を考えると少なくともコミュニズムに対するシンパシーは感じていたかもしれません。もっとも、温厚な性格で知られるムナーリのことですから(このへんはエンツォ・マリとは正反対か)きっと政治的な意図でこのデザインを手がけたわけではないと思います。

174. ムナーリとハーバード大学2006年02月22日 21:38

ハーバード大学

1967年、ムナーリはアメリカのハーバード大学へ招かれてビジュアルコミュニケーションとデザインの授業をおこなっています。授業の詳しい資料は見つけていないのですが、あるときムナーリはボストン(ハーバード大学がある町ですね)のディスコに学生と一緒に招待されたそうで、その時の思い出を「デザインと視覚コミュニケーション」(Design e Comunicazione visiva)という本の中で語っているそうです。

175. 「デザインと視覚コミュニケーション」(本)2006年02月23日 15:55

Design e comunicazione visiva

ムナーリがハーバードでの思い出を語っているという「デザインと視覚コミュニケーション」ですが、1968年にLaterza社から発行されています。どうやら現在も版を変えて発行されているようですが、イタリア語版のみで日本の輸入書店でもあまり見る機会がありません。ムナーリは他にも視覚デザインや造形教育に関する教科書的な著作を多く残していますが、日本語で読むことが出来るのはダヴィッド社の「芸術としてのデザイン」くらいで寂しい限りです。

176. 金属の本2006年02月25日 00:57

未来派の本

ムナーリの作品についてウェブ上を検索している内に見つけた作品です。古ぼけた本の装丁に見えるのですが、この本はどうやらすべて金属でできています。1933年にムナーリが未来派のTullio d'Albisolaとコラボレートして作った作品のようです。

177. ムナーリの小包2006年02月26日 01:31

Per Marco, per Pietro, Maria Teresa,1996

ムナーリがこどものためのワークショップでおこなった「プレゼントを作ろう」というテーマの作品のひとつです。タイトルが「マルコへ、ピーター、マリアテレーザへ(いずれも名前)」という、そのまま「○○ちゃんへ」という雰囲気ですが、ワークショップのテーマはいかにいろいろな素材で素敵なオリジナルパッケージを作るか、ということですね。家の引き出しの中に眠っていそうな雑多な紐やリボンで面白い作品が作れる、という新鮮さに惹かれます。

178. 中国のことわざ2006年02月26日 19:15

こどものためのワークショップ(ブレラ、ミラノ)

ムナーリがこどもたちのための造形ワークショップ「アートと遊ぼう(giocare con l'arte)」をおこなっている時にこんな「中国のことわざ」を引用したそうです。「聞いたことは、忘れる/見たものは、覚えられる/やったことは、理解できる」(Se ascolto dimentico / Se vedo ricordo / Se faccio capisco)これはもしかすると、「百聞は一見にしかず」のことでしょうか?(そもそもことわざの原典はそういうことなのかどうか)

179. ムナーリと叙勲2006年02月27日 21:59

大十字騎士勲章(Cavaliere di Gran Croce)

イタリア語版ウィキペディアにムナーリの項があって、なかなか詳しいバイオグラフィーが書き込まれているのですが、ムナーリは1994年にイタリア共和国政府から「大十字騎士勲章(Cavaliere di Gran Croce)」を受けているそうです。日本で言えば「勲○等」というところでしょうか。ちなみにイタリア語の「Cavaliere」は英語の「Knight」ですから、考えようによっては「サー・ムナーリ」ということかも?ムナーリのウィキペディアはこちら→http://it.wikipedia.org/wiki/Bruno_Munari

180. 芸術とは何か?(本)2006年02月28日 20:53

「Teoremi sull'Arte」

「Teoremi sull'Arte」は、ムナーリが自らの考える「芸術のありかた」をいくつかの鋭く、短いフレーズによって語った「定義集」のような小さな本です。オリジナルは1961年にミラノで発行され、現在はコッライーニ社から復刻版が出ています。テキストは英語、フランス語、イタリア語で書かれており、外国語の苦手な人でもムナーリの言葉に興味がある人だったら辞書片手に十分楽しめる一冊だと思います。

<< 2006/02 >>
01 02 03 04
05 06 07 08 09 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28

このブログについて

イタリアの芸術家+デザイナー+教育者、ブルーノ・ムナーリのことなどあれこれ。
こちらにもいろいろ紹介しています(重複有)https://fdl-italform.webnode.jp/

RSS